「犬猫の診療現場ってどんな雰囲気なんだろう?」「先輩たちはどうやって病院を探して、何を学んでいるの?」
小動物臨床を目指す獣医学生にとって、動物病院実習は将来の働き方を肌で感じ、自分の進路を考える絶好のチャンスです。
しかし、いざ申し込みや準備を始めようとすると「どんな病院を選べばいい?」「何を準備しておけばいい?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
このガイドでは、現役獣医師の視点と先輩獣医学生の体験談を交えながら、
✅ 動物病院の探し方・申し込み方
✅ 実習前の準備と勉強法
✅ 当日の立ち回り方・マナー
✅ 実習後にやるべきことと就活へのつなげ方
をわかりやすく解説します。
初めての実習でも安心して挑めるよう、この記事でしっかりイメージを掴んでいきましょう。
動物病院実習では何をするの?

「動物病院の実習って、実際に何をさせてもらえるんだろう?」
初めての現場ではそんな不安や疑問を抱く方も多いはずです。
学生が体験する内容は病院ごとに異なりますが、小動物臨床ならではの特徴的な流れや役割があります。
見学・簡単な補助・現場体験が中心
動物病院実習の基本は以下のような内容です。
✅ 診療の見学:外来での問診・検査・処置を間近で観察
✅ 簡単な補助:体重測定や保定の手伝い、器具の準備
✅ 入院動物のケア:ケージの掃除や給餌・給水のお世話
実習生の関われる範囲は病院の方針やあなたの積極性で変わります。
「技術がないから見学だけ…」と消極的にならず、「できることはありますか?」と自分から声をかける姿勢が大切です。
実習の目的は現場理解と社会人スキルの習得
実習の本当の目的は「臨床の現場を体験すること」だけではありません。
- 挨拶やメモなど社会人としての基本スキルを身につける
- 獣医師や愛玩動物看護師の仕事を間近で理解する
- 将来自分がどんな働き方をしたいか考えるきっかけを作る
この3つが大きな意味を持ちます。
先輩たちのアンケートでも
「実習に行ったことで進路の方向性が定まった」
「現場の忙しさや空気感を知れたおかげで、今後の勉強のモチベーションが上がった」
という声が多数寄せられました。
ただの「お手伝い」ではなく、自分の未来を広げる第一歩として実習を活用しましょう。
小動物実習はいつから・どのくらい行けばいい?

小動物病院での実習・インターンは、将来の進路や働き方を具体的にイメージする絶好のチャンスです。
でも「いつから動き始めればいいの?」「何か所くらい行けば十分?」と迷う獣医学生も少なくありません。
ここでは、先輩たちの経験談をもとに、実習のタイミングや回数について詳しく解説します。
実習を始めるなら5年生の夏〜秋がベスト
アンケートによると、小動物臨床を目指す多くの先輩たちは、5年生の夏休み〜秋を目安に実習をスタートしています。特に人気の高い都市部や大規模病院は、早い段階から申し込みが集中するため、スケジュール管理が重要です。
この時期に実習を始めると、6年生になるまでに複数の病院を回る余裕があり、診療方針や職場の雰囲気を比較できます。逆に動き出しが遅れると、希望する病院が受け入れ終了してしまうことも。
「1〜2年生のときから短期見学に参加していた」という先輩もおり、早い段階で現場を知ることで学業のモチベーションが上がったという声もありました。
実習は3〜5か所回るのが理想的
実習先は3〜5か所を目安に回ると、診療スタイルや職場の雰囲気を比較でき、自分に合う環境を見極めやすくなります。
「エキゾチックに強い病院を見て視野が広がった」
「夜間救急の忙しさを経験して進路が変わった」
…というように、複数の現場を体験することで進路選択の軸が明確になります。
どんな流れで実習・インターンへ行くの?
民間の動物病院へ実習、インターンへ行った先輩たちの多くは、以下のような流れで実習・インターンへ行っていました。
特に「2.実習先へコンタクトを取る」はハードルが高く感じる方が多いと思います。
のちほど実習先の決め方やコンタクトの取り方についても記述していますので、ぜひ参考にしてください。
学年によって実習の意味は変わる
小動物病院での実習は、学年によって目的や得られる学びが少しずつ異なります。
低学年(1〜3年生)では、まず診療現場の雰囲気に触れ、教科書だけでは得られない“リアルな現場感覚”を知ることが主な目的です。見学中心の実習でも、獣医師やスタッフの立ち振る舞いを間近で見ることで、多くの気づきが得られるでしょう。
一方で、高学年(4〜6年生)になると、就職活動や進路選択を意識した実習が増えてきます。
短期間の見学ではなく、より長期的なインターンシップとして参加し、病院の診療スタイルや職場環境を深く理解する段階です。ここでは、将来どんな獣医師として働きたいかを具体的に描くことが求められます。
そのため、低学年のうちから気軽に実習を経験しておくと、視野が広がり、高学年での本格的なインターンがより実りあるものになるでしょう。
どうやって実習・インターン先を探せばいい?

実習先を探すとき、最初に立ちはだかるのは「数が多すぎて、どこに行けばいいのか分からない…」という壁。
特に小動物病院は全国に無数にあり、情報の集め方次第で実習の質が大きく変わります。
ここではアンケートをもとに、獣医学生がよく利用している3つの情報収集法と、それぞれの特徴を紹介します。
あなたに合った方法を見つけ、理想の実習先を見つける第一歩にしてください。
インターネットは気軽に情報収集できる
インターネット検索は、最も多くの学生が利用している手段です。
地域や診療分野で検索すれば、ホームページや求人サイト、SNSから病院の雰囲気が分かります。
✅ おすすめポイント
- 全国どこでも探せる
- 大規模病院は就活・実習専用ページを用意していることが多い
- SNSで院内の様子が見える場合も
💡 「いきなり電話は緊張する…」という方は、まずはネットからエントリーできる病院を探すのが安心です。
先輩や教授からの紹介は安心感がある
先輩や教授からの紹介は、ハードルが低く人気の方法です。
全く知らない病院に行くよりも気楽で、指導してくれる先生とのつながりを作るきっかけにもなります。
✅ おすすめポイント
- 事前に実習先の雰囲気が分かる
- 自分でコンタクトを取らなくて済む場合も
- 就職後もつながりを維持しやすい
「どこに行くか迷う…」という方は、まず身近な先輩や教授に相談してみるのも良いでしょう。
就職説明会は効率よく比較できる
大学主催の合同就職説明会では、全国の動物病院が一堂に会します。
病院の特徴を比較しながら話が聞けるため、「どんな病院が自分に合いそうか」を考える良い機会です。
✅ おすすめポイント
- 短時間で複数の病院を比較できる
- 実際に働くスタッフと直接話せる
- 動画や資料で雰囲気が分かる
「効率的に情報を集めたい!」という方にぴったりです。
実習当日に気をつけたい心構えと現場の見方

実習が決まると、いよいよ現場デビュー。「何を意識すればいい?」「どう振る舞えばいい?」と緊張する人も多いはずです。
ここでは、当日をより実りあるものにするためのポイントを紹介します。
礼儀と積極性が実習成功のカギ
動物病院の現場では、どれだけ技術があるかよりも 「礼儀正しく、学ぶ姿勢があるか」 が見られています。
- 服装や髪型は清潔感を意識
実習初日は特に第一印象が大切です。指定がない場合も、無難で動きやすい服装を選びましょう。 - 挨拶は大きな声で、自分から
「実習生だから…」と遠慮しすぎず、スタッフ全員にしっかり挨拶をしましょう。 - メモは常に持参
メモを取ることで、学ぶ姿勢を示すだけでなく、現場の雰囲気や気づきを後で振り返るのに役立ちます。
💡 実習は「見学者」ではなく、「学びに来た仲間」として迎えられる場です。遠慮しすぎず、積極的に学ぶ意識を持ちましょう
実習先の雰囲気を観察して将来をイメージする
せっかく現場に行くなら、診療内容だけでなく職場全体の雰囲気や働き方も見ておくことが大切です。
たとえば次のポイントは特に注目しましょう。
✅ スタッフ同士のコミュニケーション
→ 新人や実習生にどんな接し方をしているかを見ると、自分が働く姿をイメージしやすくなります。
✅ 病院設備や診療の流れ
→ 手術室や入院設備などを見学できるなら、どう使われているかを観察しておきましょう。
✅ 働き方や労働環境
→ 勤務時間や休憩の取り方なども、就職先を決める際の判断材料になります。
💡 Point:
「この病院で働く自分」をイメージしながら観察することが、実習をキャリア形成につなげる秘訣です。
実習後に何をすべき?未来につなげる振り返り方

実習が終わるとホッとする気持ちもあるでしょう。でも、ここからがキャリア形成の重要なフェーズです。
経験をきちんと整理し、次の実習や就職活動にどう活かすかを考えていきましょう。
振り返りで経験を自分のものにする
実習が終わったら、疲れを癒す前に「振り返り」をしましょう。
参加しただけで終わるのと、学びを整理して次に活かすのとでは成長スピードが大きく変わります。
振り返りは以下3つの視点で行うと良いでしょう。
- 学びの言語化
診療の流れや飼い主対応など「印象的だった場面」を具体的にメモ。 - 得意・不得意の整理
スムーズにできたこと、戸惑った場面を振り返り、次に向けた課題を明確化。 - 職場環境の記録
病院の規模や雰囲気もメモしておくと、就活時の判断材料になります。
このステップを踏むことで、履歴書や面接でのエピソードも自然と具体性が増します。
就職活動で武器になる実習経験
実習・インターンで得た体験は、履歴書や面接での大きなアピール材料になります。
現場でのエピソードがあると、
✅ 「学生時代に学んだことは?」
✅ 「どんな挑戦をしましたか?」
といった質問にも具体的に答えられ、説得力が増します。
たとえば
「飼い主対応の見学を通じて、信頼関係の築き方を学んだ」
「手術助手として、先生の動きを先読みする大切さを感じた」
といった経験は、そのまま自己PRに活かせます。
さらに複数の病院を回ることで、診療スタイルや職場環境の違いも比較でき、進路選択のヒントにもなります。
実習先とのつながりを大切にする
実習後は、お世話になった病院に必ずお礼のメールを送りましょう。
簡単な一文でも、感謝の気持ちを伝えることで印象がぐっと良くなります。
また、気に入った病院には再度実習に行くのもおすすめです。顔を覚えてもらうことで、就職活動時にプラスになる場合もあります。
小動物実習はキャリアを考える絶好のチャンス
動物病院での実習は、現場の雰囲気を知り、獣医師としての未来を描く大切なステップです。診療の流れやスタッフの連携を間近で感じられるのは、座学では得られない貴重な経験。
振り返りを通して学びを整理すれば、次の実習や就職活動にも自信を持って臨めます。
しっかり準備をして、一歩先の自分につなげましょう。
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