研究室配属を控えた獣医学生にとって、これからの生活がどう変わるのかは大きな関心ごとですよね。
この「獣医学生のための研究室生活のすゝめ」シリーズでは、研究室でのリアルな日常を、わかりやすくお届けしていきます。
第1回の今回は、研究室での1日の流れやゼミの雰囲気について紹介します!これからの配属先選びや生活のイメージ作りに、ぜひ役立ててくださいね。
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研究室の1日ってどんな感じ?

研究室配属を控えた獣医学生にとって、気になることのひとつが「研究室での1日はどんな風に過ごすのか」という点ではないでしょうか。
ここからは、コアタイムや日々のスケジュールを中心に研究室での1日がどのようなものかをイメージしやすくご紹介していきます。
コアタイムと自由時間の違い
研究室に配属されると、多くの場合「コアタイム」と呼ばれる在室推奨時間帯が設けられます。これは研究や実験、ゼミの時間を確保するための目安ですが、その運用は研究室ごとに大きく異なります。
例えば、感染症系や基礎系では比較的自由度が高く、時間管理は個人に任されることも少なくありません。
一方、病理学や解剖学のような作業に人数が必要な分野、あるいは外科や内科などの臨床分野では、作業時間が長引いたり、手術や当番によって朝早くから遅くまで在室する必要があることもあります。
また、産業動物系では学外での活動も含まれ、週に1〜2回程度、農家や提携施設への往診・採材が行われることも。こうしたフィールドワークは実習とはまた異なる貴重な現場経験となります。
さらに、自分の研究テーマが本格的に動き始めると、コアタイムに関係なく学校に来て作業を進めなければならない日も出てきます。柔軟性のある研究室でも、進捗が求められる中では自らスケジュールを組み立てる力が求められるのです。
ある学生の平日スケジュール例

ゼミってどんな感じ?研究室ごとに全然ちがう!

「ゼミ」とは、研究室ごとに行われる勉強会のようなもので、論文を読んで発表したり、研究の進捗を報告したりする場です。
堅いイメージがあるかもしれませんが、実は研究室によってスタイルはさまざま。発表の頻度や使う言語、進め方まで、それぞれのカラーがしっかり出ます。
ここでは、いくつかの研究室の実例をもとに、ゼミのリアルな雰囲気をご紹介します!
ゼミの形式と頻度
研究室生活の中で、ゼミ(輪読会)や進捗報告は欠かせない要素です。しかし、その頻度やスタイルは研究室や担当教員の考え方によって大きく異なります。
ある大学の4つの研究室を例に見てみましょう👇
たとえばA研究室では、前期・後期合わせて3〜4回程度、自分の研究に関係しそうな英語論文を選んで発表します。発表やスライドは日本語で行われ、事前に用意された質問に答える形で進行します。比較的発表のハードルは低めといえるでしょう。
一方、B研究室では回数が多く、英語論文を読むゼミと、自身の研究プロトコルを英語で発表するゼミの2種類が並行して行われます。質疑応答も当日その場で行われるため、準備だけでなく即応力も求められます。
さらに、C研究室ではすべて英語での発表が基本。英語力を実践で鍛えたい学生にとっては刺激的な環境です。
D研究室では、4年生のゼミが毎週(または隔週)行われる代わりに、発表内容は「英語の教科書を読んだ分だけ」というシンプルなもの。スライドは英語で、ゼミはオンラインでも参加可能です。
このように、ゼミのスタイルは研究室ごとに大きく異なります。発表の頻度や使う言語など、自分に合うかどうかを見極めるポイントになります。
緊張することもありますが、文献を読む力や伝える力など、実践的なスキルがゼミを通じて自然と身につきます。気になる研究室があれば、先輩に話を聞いたり、見学の機会を活用するのがおすすめです。
学生の声と実感

私の研究室では、英語論文を和訳して読み、パワーポイントで発表していました。ビジネス用のプレゼン参考書を読み漁り、「伝わるプレゼン」を行うように心がけていました。結果としてその後さまざまな会で賞をいただけるようになったため、積極的に取り組んでいて良かったと思います。
研究の進捗報告はどうやって行うの?

研究室で自分の研究が始まると、定期的に「どこまで進んだか」を報告する場面が出てきます。
この進捗報告のスタイルも研究室によってさまざまで、報告の仕方やタイミング、求められる内容は意外と違いがあります。
ここでは、進捗報告の実際の方法や、学生が感じやすいポイントについて紹介していきます。
報告スタイルの違い
進捗報告の方法も研究室によってさまざまです。指導教員に個別で報告するケースもあれば、ゼミ内で研究室メンバー全体に向けて発表する形式のところもあります。
報告の内容が不十分だと「もう一度やり直して提出して」と言われることもあるため、適切な準備と日々の積み重ねが大切です。
授業・実習と研究は両立できる?
学生は授業や実習、テストとゼミが被ることも多いため、スケジュール調整力が重要になります。
中には学生同士で時間を融通し合いながら進捗報告やゼミのスケジュールを決めている研究室もあり、助け合いの文化が根づいているところでは安心して活動できます。

自分は出身地が遠かったため、研究室のメンバーと相談して帰省の日程を決めていました。代わりに他のメンバーがいないタイミングには必ず出るなど、バランスをとりながら長期休暇を過ごしていました。
学会って誰でも出られるの?

研究室に入ると、「学会発表ってした方がいいのかな?」「自分も出られるの?」と気になる人も多いはず。
実際のところ、学会に出るかどうかは研究室の方針や学生の希望によって異なります。
ここでは、学会発表のチャンスや準備の流れ、参加のハードルについて紹介します。
発表の機会と条件
学会発表は研究の成果を社会に発信する大切な場ですが、「必須ではない」という研究室が多いです。一方で、積極的に学会参加を支援してくれる研究室もあり、やはり担当教員や研究室によって姿勢は大きく異なります。
たとえば、ある研究室では6年生になると国内学会での発表が1〜2回求められることがあります。論文としてまとめられる内容であれば、投稿をすすめられることもあります。
また教授が積極的な研究室では、やる気と時間管理能力があれば4年生でも海外学会に参加できることもあります。実際に、海外のウイルス学会に参加し国内の学会にも複数回登壇、論文もすでに掲載…というような学生も。
学生の実体験

4年生のはじめから積極的に研究に取り組み、5年生の中盤にはある程度データが揃っていました。そこで「発表に興味がないか?」と声をかけていただき、2つの学会で発表を行いました。普段の作業に学会準備が加わったので大変ではありましたが、とても良い経験になったと思っています。
長期休暇はどう取る?自由時間との付き合い方

「研究室に所属しても、夏休みや冬休みといった長期休暇はちゃんと取れるの?」と不安になる人もいるかもしれません。
実際には多くの研究室で休みは確保できますが、ルールや調整のしかたにはちょっとしたコツがあります。
ここでは、休暇の取り方や、自由時間をうまく使うための工夫について紹介します。
休暇の取り方と注意点
研究室配属後も、夏休みや冬休みといった長期休暇を取ることは可能です。
ただし、研究室によってルールや文化が異なります。
ある大学の研究室の多くでは「1週間まで」が暗黙の上限となっており、比較的自由度の高い研究室であれば2週間ほど取れることもあります。ただし、動物の世話や検査などの役割がある場合には、自分が休む間に代わりをお願いする必要があります。
ルーチン業務と調整
「他のメンバーと休みが被らないようにする」「急ぎの検査がないかを確認する」といった調整力も大切なスキルの一つ。衛生系や臨床系、解剖のある研究室のように検査業務が不定期な場合、長期間業務がないこともあれば、短期間に集中して当番が回ってくることもあるため、常に確認が必要です。
研究室生活は、自分らしく成長するチャンス
研究室での生活は、授業中心だったこれまでの学生生活とは大きく変わります。
コアタイムやゼミ、進捗報告、学会発表、休暇の取り方──どれも研究室や先生によってスタイルはさまざまですが、共通して言えるのは「自分で考えて動く力」が求められるということです。
最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、研究室で過ごす時間は、獣医師としてだけでなく、社会人としても大きく成長できる貴重なチャンスです。
自分に合った環境を見つけ、仲間と学び合いながら、研究生活を前向きに楽しんでいきましょう!
次回予告
次回【第2回】では、「研究室のサポート体制と人間関係」について詳しく掘り下げます。
教授の忙しさが学生にどう影響するのか、研究室の雰囲気やメンバーとの相性がなぜ大切なのか──。
研究室生活を快適に送るためのポイントを、リアルな視点から紹介していきます!
お楽しみに!


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