獣医師を志す学生にとって最後の関門である「獣医師国家試験」。
これをいかにして突破したかは、すべての獣医学生にとって気になる点ではないでしょうか。
また、どのような場合に不合格になってしまうのかについても、知っておくとかなり有益です。
そこで今回は、歴代でも低い合格率を叩き出した「第74回獣医師国家試験」で不合格となってしまった徳留さんにお話を伺いました。
獣医学生の頃は、学業とプロの動画編集の両立を果たしていた、徳留さん。
昨年度の国家試験を受験し、今年も再チャレンジを控えている彼の、多忙な日常や受験に向けた準備、そして将来の展望について、深く掘り下げてみました。
徳留さんのこれまでの経験やアドバイスは、これからの獣医学生にとっての貴重な手引きとなるでしょう。
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勉強のスタートと本番の空気感
12月から本格的に勉強開始。基礎の見直しが間に合わず
Q: 徳留さん、改めて自己紹介をお願いできますか?
徳留: 今年3月に獣医学科を卒業したばかりです。当初は4月から小動物臨床の仕事を予定していましたが、残念ながら国家試験に合格できず、現在は動画編集を中心にキャリアを築いています。
Q: 勉強をスタートしたのはいつからでしたか?
徳留: 11月末に卒業論文が終わった後、12月から本格的に勉強を開始しました。
私は内科学を専攻していたため、最初は頻出分野や専門的な分野を中心に進めていましたが、基礎的な部分が不足していたため、総合的な学習に移る前に試験日が迫ってしまいました。
Q: 国試会場のある福岡までの道中や準備中も勉強は続けていましたか?
徳留: そうですね、直前は基本的に自分のまとめたノートを使って復習に専念してました。
1週間前にはやることをすべて終えて、1週間をすべて復習に当てたかったのですが、実際はスケジュール通りには進まず、結果的にギリギリまで勉強が続きました。
必須問題の難化で苦戦。本番は緊張感に包まれた
Q: 国試当日、試験後の雰囲気や感想はどうでしたか?
徳留: 会場内は非常に緊張感に包まれていました。特に必須問題の難易度については受験生間での話題となり、終了後もかなり教室がざわついていました。私自身はA-D問題では要求の基準をクリアしていたものの、必須問題での特定の詳細な知識(モルモットの妊娠期間、口蹄疫の型など)を要求されるマニアックな問題の得点が足りませんでした。
勉強法と反省点
過去問は5年分。復習不足が痛手に
Q: 国試に挑む上での勉強方法や工夫はありましたか?
徳留: 過去問題を解くことは特に重要だと感じました。ただ、私は5年分を一通り解くアプローチを取りましたが、各問題への取り組みが浅かったように思います。また、日常のスケジュール管理も大切だと痛感しています。私の場合予定していた内容が日々遅れてしまい、そのまま試験前に全ての内容をカバーできなかったのが悔やまれます。
模試結果の慢心が招いた油断
Q: 国試の勉強で反省していることや、やるべきではなかったと感じることはありますか?
徳留: 直前の模試の結果が良かったため、過度に自信を持ってしまったのが反省点です。また、友人との共同学習の際、他の人と比較して自分ができていると感じ、その結果、自己満足に陥ってしまったのも大きな敗因となったと思います。
定期試験の知識も役立つ。過去の資料を有効活用
Q: 定期試験の勉強との関連性についてのアドバイスはありますか?
徳留: 国試は定期試験のような深い内容まで詳細に問われることは少ないと感じました。
しかし、定期試験で使用した資料などは重要なポイントが網羅されているため、これらを利用して学習することで効率的に要点を押さえることができると思います。
Q: 科目ごとに勉強法は変えたりしていましたか?
徳留: はい、特に問題数が多い内科に関しては、私は10年分の問題をPDF化してそれを検索し、似たような問題を繰り返し解いてました。
内科に関しては、かなり専門的になった気がします。他の科目も5年分の問題をざっとやってみた感じですね。
ここへの取り組み方が浅かったと思っています。
Q: 国試の勉強で特に役立った参考書などはありますか?
徳留: はい、私が特に頼りにしていたのは「日獣まとめ」と「麻布カラーアトラス」の2つの参考書です。
これらをiPadの「GoodNote」でデジタル化し、持ち運びながらの学習が可能になりました。私の勉強スタイルはほぼMacとiPadに依存していました。
グループワークと仲間の支え
得意分野で分担。互いに教え合う勉強法
Q: 国試の勉強期間中、やはり厳しさを感じることは多かったのでしょうか?
徳留: そうですね、きつい時期はありました。
しかし、グループワークのおかげでそのプレッシャーは軽減されました。みんなで協力して勉強する中で、他の仲間たちも同じく厳しい状況にあるのを見て、一人だけではないと感じることができました。
Q: グループワークとは具体的にどのようなものですか?
徳留: 例えば、臨床系や感染症系の研究室に所属している学生が均等に配分されるようにして、それから国試までみんなで共同で勉強を進めるシステムです。
大学によっては異なるかもしれませんが、私たちの場合、11月頃にグループワークがスタートしました。
班編成担当の人が、30人を6グループに分けて、それぞれの得意な分野や研究室の配属に応じてグループを作成します。
Q: グループワークの具体的な勉強方針などはどのように決まるのでしょうか?
徳留: グループワークの時間や、過去問を何年分やるかなどはグループ毎に異なります。
私たちのグループは、早朝の学習が難しく、9時からグループワークを開始することになりました。
毎週水曜日に私が内科の解説をする日として定めていて、他の日は各メンバーがそれぞれの専門分野で解説を行っていました。この方法は非常に効果的で、皆で教え合うことができました。
朝7時半からの勉強習慣でペースを確立
Q: 1日のルーティンを教えてください。
徳留: 先ほど言ったグループは9時からあるのでそれに合わせて行かないといけないのですが、実は私、6年間ほとんど勉強してないのが気がかりでした。なので他の人より早く起きることにして、研究室に7時半ぐらいには行って勉強していました。
グループワーク後は基本的に図書館での学習が中心。ただ、時々図書館に飽きると、友達とカフェで勉強したり、問題を出し合ったりして気分転換を図ってました。ほぼ毎日、21時ぐらいまで勉強してましたね。
不合格からの再挑戦と今後の展望
動画編集の仕事と両立しながら再挑戦へ
Q: 徳留さんは、現在はどのように過ごされていますか?
徳留: 現在は学生のうちからやってたフリーランスを、より時間が持てたので詰めていってる感じですね。
一日中動画編集をしてます。動画編集と言っても結構いろんな種類があるので、アニメーションをより磨いたり、そのディレクターとかの仕事とかもしてます。
1日1回は勉強を。習慣を絶やさず準備を継続
Q: 国試への勉強はしていますか?
徳留: 勉強はちょっとしてます。今は必須問題をパラパラと。余裕はあるので、余裕があると思って勉強したら良くないんですけど、1日勉強を全くしないっていう時間は無くすべきだと思っていて、その点は反省しています。
Q: これから先にどういう風に勉強を進めていく予定ですか?
徳留: 毎日勉強と仕事を両立しつつ、最終的な国試まで行くってのが一番ベストではあるんですけど、やっぱり11月、12月からは本腰を入れる予定です。
今は6月なので、毎日コツコツ勉強して、本番前にガッツリやらなくてもいいくらいの完成度で持っていきたいと考えてます。
情報共有を活かしてリベンジに挑む
Q: 11月にはどのような対策を予定していますか?
徳留: 今年は結構落ちた人が多いので、同期と繋がって情報共有して対策はしていきたいと思ってます。情報共有は、私たちが受けた国試の時も非常に大事で、各大学の情報や先生の専門分野に関する情報が役立った経験があります。
次は“獣医と動画編集の二刀流”でキャリアを築く
Q: 国試に合格した際も、編集の方のお仕事は続けられるんですか?
徳留: はい、獣医を主にしつつ、動画編集は副業として今後も続けていきたいと考えています。
Q: 昨年度の内定先と、今年度の就職先は同じ場所を予定していますか?
徳留: それはまだ悩んでいます。国試が終わった後に、一度その病院に連絡をしたんですが、落ちていた場合でも再度の就職のチャンスを頂けるという優しい言葉をいただいてます。しかし、選択肢は多く、別の病院も考慮しています。
Q: 最後に、受験生や獣医学生に向けてのアドバイスをお願いします。
徳留: 人によって勉強の進め方は異なりますが、6年生になったらすぐにでも勉強を始めることをおすすめします。
国試の勉強は臨床の場での知識としても非常に役立つので、暗記が必要な部分はどんどんと覚えていくことをおすすめします。
いかがでしたか?
徳留さんの経験は、これから獣医師国家試験に臨む方々への大きな助けになることでしょう。
徳留さんの教訓をもとに、ぜひ国家試験合格を掴んでくださいね。
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