岩手大学獣医学部共同獣医学科は、国公立の獣医学部の中では中程度の難易度となっています。
平成24年度より東京農工大学農学部共同獣医学科と大学間共同教育システムの活用による国際基準の教育およびグローバルに活躍できる獣医師の育成を行っています。
本記事では、そんな岩手大学共同獣医学科の入試について、募集人数や必要な科目、試験内容、勉強法まで詳しく解説します。
「岩手大学共同獣医学科を目指しているけど、何から始めればいいか分からない」
「共通テストや2次試験(個別学検査)の配点や出題傾向が知りたい」
そんな方はぜひ、この記事を参考にして合格への第一歩を踏み出してください。
岩手大学共同獣医学科の入試概要

岩手大学共同獣医学科の入試は、前期日程だけで行われ、後期日程での入学者募集は行われていません。
ここでは、前期日程だけで行われる入試の募集人数や試験科目、共通テストと個別学力検査の配点について詳しく見ていきます。
募集人数と配点
岩手大学共同獣医学科の募集人数と配点は、以下のようになっています。
| 一般選抜(前期日程のみ) | |
| 募集人数 | 18人 |
| 共通テストの配点 | 950点 |
| 個別学力検査の配点 | 420点 |
| 面接の有無 | 無 |
入学者選抜(一般)は、共通テストと個別学力検査により行われ、共通テストの比率が高いのが特徴で、面接は行われません。配点上、個別学力検査での挽回は難しいので、共通テスト対策をしっかりと行うことが重要です。
なお、岩手大学共同獣医学科は、一般選抜のほかに総合型選抜で12人の募集を行っています。
共通テストの科目と配点
共通テストの科目構成と配点は以下の通りです。
| 科目 | 配点(950点満点) |
| 国語 | 200 |
| 地歴・公民(「地総、地探」「歴総、日探」「歴総、世探」「公、倫」「公、政・経」「地総、歴総、公」から1科目選択) | 100 |
| 数学(「数Ⅰ、数A」と「数Ⅱ、数B、数C」) | 200 |
| 理科(物理、化学、生物から2科目選択) | 200 |
| 外国語(英(リスニングを含む)、独、仏、中、韓から1) | 200 |
| 情報(情報Ⅰ) | 50 |
個別学力検査(一般選抜)の科目と出題傾向
個別学力検査の科目と出題傾向は、以下のとおりです。
| 科目 | 配点(420点満点) |
| 数学(数Ⅰ・Ⅱ・A・B・C) ・数学Aの出題範囲は,「図形の性質」,「場合の数と確率」。 ・数学Bの出題範囲は,「数列」。 ・数学Cの出題範囲は,「ベクトル」。 | 200点 |
| 理科~物基・物、化基・化、生基・生から1科目 | 200点 |
| 大学入学希望理由書 | 20点 |
数学と理科での試験となり、数学では出題範囲に数Ⅲが含まれていません。理科は物理、化学、生物の中から1科目選択で標準レベルの出題となっています。
以上から、高得点での争いになることが予想されます。
足切りや面接はある?知っておくべき注意点

岩手大学共同獣医学科の入試では、共通テストと個別学力検査の得点が重要なのはもちろんですが、それ以外にも「足切り(2段階選抜)」や「面接」など、知っておくべき注意点があるので解説していきます。
共通テストで足切りが実施されることがあるか
岩手大学共同獣医学科では、共通テストの成績により第1段階の選抜が行われ、その合格者について個別学力検査を行うといった2段階選抜は行われていません。
毎年試験前年に大学から発行される「入学者選抜に関する要項」には、次年度入試の入学者選抜方法について、2段階選抜を行うか否かが明記されています。
面接は行われるか
岩手大学共同獣医学科(一般選抜)では、面接は行われていません。
面接についても、毎年試験前年に大学から発行される「入学者選抜に関する要項」に、次年度入試の入学者選抜方法において面接を行うか否かが明記されています。
受験時の注意点
岩手大学共同獣医学科の入試において注意すべき点はいくつかあります。
まず、本学科の2次試験(個別学力検査)は、前期日程だけで行われ、後期日程はありません。そのため、前期試験に不合格だったので後期試験に再挑戦するということはできません。
前期日程だけの入試なので倍率が高くなる傾向にあり、2025年度入試では7.5倍と、その前の数年が2~3倍程度であったのに対して高くなっています。
共通テストは950点、個別学力検査は420点と共通テストの比重が圧倒的に大きい配点になっています。
そのため、共通テストでしっかり点を取れば合格に大きく近づきますが、逆にここで失点すると2次試験では挽回しにくいのが特徴です。
2025(令和7)年度試験の合格者の平均点・最高点・最低点は、以下のとおりとなっています。(2024および2023年度試験の配点は、共通テスト900点、個別学力検査420点となっており、2025年度試験とは異なっています。)
| 平均点 | 最高点 | 最低点 |
| 1,136 | 1,231.6 | 1,102 |
合格者はどう勉強している?科目別の勉強法と対策

岩手大学共同獣医学科に合格している受験生は、共通テスト重視の配点を踏まえつつ、2次試験(数学・理科)の頻出分野を的確に押さえているという共通点があります。
ここでは、実際の出題傾向と過去問分析をもとに、科目ごとの対策ポイントと効果的な勉強法をまとめました。
自分の得意・不得意や受験までの残り期間に合わせて、どこに力を入れるべきかを判断するための指針として活用してください。
数学|【数Ⅲは含まれないが広い範囲から出題、標準的な問題をミスなく解ける力が必要】
岩手大学共同獣医学科の個別学力検査は、数学Ⅲを含まない範囲で広く出題されます。
問題は他学部と同じものなので、標準的な出題が多く、難問は少ないです。対策をしていれば確実に点数が取れますので差がつきにくく、取りこぼしがないようにするのがポイントとなります。
出題形式と時間
| 試験時間 | 120分 |
| 回答形式 | 記述式 |
| 大問数 | 5題(200点満点) |
出題範囲と頻出分野
数学Ⅲを範囲に含まない数学(大問5題/200点満点)を解答します。数学の出題範囲は以下のとおりとなっています。
| 出題範囲 | |
| 数学 | 数学Ⅰ、数学Ⅱ、数学A、数学B、数学C 数A:「図形の性質」「場合の数と確率」 数B:「数列」 数C:「ベクトル」 |
数学の直近5か年の年度別出題は、下表のとおりとなっています(各年度の上段から大問1・2・3・4・5)。
| 年度 | 数学 |
| 2025年 | ・小問集合 ・ベクトル ・整数 ・積分 ・数列 |
| 2024年 | ・小問集合 ・ベクトル ・整数 ・積分 極限 ・図形と方程式 |
| 2023年 | ・小問集合 ・確率 ・図形と方程式、ベクトル ・微分・積分 ・指数対数 領域 |
| 2022年 | ・小問集合 ・数列 ・場合の数 ・微分積分 ・三角関数 |
| 2021年 | ・小問集合 ・ベクトル ・整数 ・積分 ・確率 |
直近5年分の出題を見てみると、毎年必ず出ているのが「小問集合」と「積分」です。
さらに、「ベクトル」は5年中4回、「整数」は3回、「数列」は2回出題されており、これらが頻出分野となっています。
対策のポイント
岩手大学共同獣医学科の数学では、数学Ⅰ・Ⅱ・A(図形の性質、場合の数と確率)、数学B(数列)、数学C(ベクトル)が出題範囲になります。
直近5年の傾向を見ると、「積分」は毎年、ベクトルは4回、整数は3回、数列は2回と、これらが主要な頻出分野です。
このほかにも、微分、方程式、極限、確率など幅広い分野から出題されますが、問題自体は標準レベルが中心です。基礎をしっかり理解し、典型問題の解法を確実に身につけておくことが得点につながります。
また、計算問題や証明問題も多いため、ケアレスミスを防ぎ、確実に取り切る力が合格への大きなポイントになります。
物理基礎、物理|【出題分野は例年同じ、全体的な基礎の理解と演習で対応可能】
岩手大学共同獣医学科の個別学力検査では、理科の配点が200点で、「物理基礎、物理」、「化学基礎、化学」、および「生物基礎、生物」の中から1つ選択します。
問題は他学部と共通なので、標準的な出題が多く難問は少ないです。対策をしていれば確実に点数が取れますので、取りこぼしがないようにするのがポイントとなります。
出題形式と時間
| 試験時間 | 120分 |
| 回答形式 | 記述式 |
| 大問数 | 5題(200点満点) |
出題範囲と頻出分野
「物理基礎、物理」の直近5か年の年度別出題分野は、下表のとおりとなっています(各年度の上段から大問1・2・3・4・5)。
| 年度 | 出題分野 |
| 2025年 | ・力学 ・熱力学 ・波動 ・電磁気 ・力学 |
| 2024年 | ・力学 ・熱力学 ・波動 ・電磁気 ・力学 |
| 2023年 | ・力学 ・熱力学 ・波動 ・電磁気 ・力学 |
| 2022年 | ・力学 ・熱力学 ・波動 ・電磁気 ・力学 |
| 2021年 | ・力学 ・熱力学 ・波動 ・電磁気 ・力学 |
直近5年の出題を見ると、「力学」が毎年2問、熱力学・波動・電磁気がそれぞれ毎年1問ずつ出ています。
つまり、この4分野をバランスよく理解しておくことが確実な得点につながります。
対策のポイント
直近5か年の出題を見ると、毎年「力学」「熱力学」「波動」「電磁気」から出題されていることから、
これらの分野について満遍なく勉強しておくことが求められます。各大問には小問が多く設定されており、また、計算問題もあることから、スピードを持って解答していく必要があります。
問題のレベルは標準的ですので、基礎をしっかりと理解して問題演習を繰り返せば、焦らなくても対応できます。
化学基礎、化学|【出題範囲は広く難易度は標準レベル、網羅的な理解と専用問題集での演習が必要】
「化学基礎、化学」の問題も他学部と共通なので、難問は少なく標準的な出題となっています。
こちらも対策をしていれば確実に点数が取れますので、取りこぼしがないようにするのがポイントとなります。
出題形式と時間
| 試験時間 | 120分 |
| 回答形式 | 記述式 |
| 大問数 | 5題(200点満点) |
出題範囲と頻出分野
「化学基礎、化学」の直近5か年の年度別出題は、下表のとおりとなっています(各年度の上段から大問1・2・3・4・5)。
| 年度 | 出題分野 |
| 2025年 | ・理論 ・理論 ・無機 ・有機 ・理論 |
| 2024年 | ・無機、理論 ・理論 ・理論 ・有機 ・有機 |
| 2023年 | ・理論 ・理論 ・無機 ・有機 ・有機 |
| 2022年 | ・理論 ・理論 ・無機、理論 ・有機、理論 ・有機、理論 |
| 2021年 | ・理論 ・理論 ・無機、理論 ・有機、理論 ・有機、理論 |
岩手大学の化学は、あらゆる分野から出題がなされています。例年、5つの大問は、有機、無機、理論から構成されており、高分子が出題されることもあります。
対策のポイント
岩手大学の化学は出題範囲が広いので、まずは苦手分野をなくすことが必要です。
問題の難易度は標準で、難問はほとんど出ません。ですから、しっかりと基礎固めをして、問題演習を網羅的に行うといった対策を行えば対応が可能です。
問題の中には、結論の数値のみならず計算過程や選択肢の選択理由を記述させるものも多くあるので、記述でのアウトプットも練習しておく必要があります。
生物基礎、生物|【難易度は標準、広い分野から満遍なく出題されるので全体的な理解が必要】
「生物基礎、生物」の問題も他学部と共通となっています。問題の難易度は標準レベルですが、広い範囲からの出題となるので、早い時期から対策をして基礎を理解し出題傾向に慣れておけば、確実に点数を稼ぐことができます。
出題形式と時間
| 試験時間 | 120分 |
| 回答形式 | 記述式 |
| 大問数 | 5題(200点満点) |
出題範囲と頻出分野
「生物基礎、生物」の直近5か年の年度別出題は、下表のとおりとなっています(各年度の上段から大問1・2・3・4・5)。
| 年度 | 出題分野 |
| 2025年 | ・代謝 ・遺伝情報 ・植物の反応 ・生態系 ・遺伝 |
| 2024年 | ・腎臓 ・発生 ・進化 ・生態系 ・遺伝 形質置換 |
| 2023年 | ・植物ホルモン ・生態系 ・受容器 反射 ・進化 ・遺伝情報 |
| 2022年 | ・代謝 ・生態 ・生殖、発生 ・遺伝情報 ・進化、系統 |
| 2021年 | ・遺伝情報 ・動物の反応 ・植物の反応 ・生態 ・進化、系統 |
直近5年の傾向では、「遺伝情報」が4回出題されていますが、特定の分野に偏っているわけではありません。全体的に幅広い分野からバランスよく出題されるのが特徴です。
対策のポイント
岩手大学の生物は、直近5か年では「遺伝情報」が比較的多く出題されているものの、特によく出題される分野というのはありません。広い分野から出題されますが、問題のレベルは標準的で教科書をしっかりと理解しておけば十分に対応できるものとなっています。
出題の特徴としては、計算過程を含めて解答させるものや文字数を指定して記述させるものなどがあるので、過去問などで出題に慣れておく必要があります。
岩手大学獣医学部に合格するために大切なのは「教科書レベルの基礎を満遍なく理解すること」
岩手大学獣医学部共同獣医学科は、共通テストの配点が個別学力検査の配点の2倍以上となっていることから基礎が重要です。また、個別学力検査の難易度も標準的であるので、個別学力検査での挽回は難しくなっています。
合格のためには、出題範囲を網羅的に理解するとともに、早い時期から演習問題を解いて出題傾向に慣れることがカギになります。科目によっては頻出分野もはっきりしていますので、十分な対策をして合格を勝ち取りましょう。




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