「動物が好き」「獣医さんになりたい」——そう思ったときに、今の自分に何ができるのか不安になる人もいるかもしれません。でも、夢への第一歩は、小さな“好き”や“疑問”を大切にすることから始まります。
この第2回では、小中学生のうちから始められる将来のための準備について、学校生活・自由研究・家庭での過ごし方などを具体的に紹介していきます。保護者の方にもぜひ読んでいただきたい内容です!
どんなことに興味を持っておけばいいの?

「獣医さんになりたい!」という夢はあっても、「今の自分に何ができるんだろう?」と悩んでいる人もいるかもしれません。でも大丈夫。まずは“好きなこと”や“おもしろいと感じること”に目を向けることから始めてみましょう。
ここでは、将来獣医師を目指すうえで、小中学生のうちに興味を持っておくと良いことを紹介します。
生き物への「好き」が将来の土台に
「動物が好き」「生き物を見ていると楽しい」——その気持ちは、将来獣医師を目指すうえでとても大切な第一歩です。
獣医師は、犬や猫はもちろん、牛や馬、鳥、魚、さらには野生動物まで、さまざまな命に関わる仕事です。
そのため、生き物に対する興味や探究心が、将来の学びの土台になります。
とくに理科の授業で出てくる「体のしくみ」や「命のつながり」「食べ物のはたらき」といったテーマは、獣医学と深く関係しています。
難しいことを理解する必要はありません。まずは「なんでだろう?」と疑問を持てること、そして「面白いな」と感じること。それこそが“学びの種”です。
動物の健康や命に関心を持つことで、視野が広がる
生き物が「元気なとき」と「元気じゃないとき」には、どんな違いがあるでしょうか?
たとえば、犬が元気なときはごはんを食べたり、しっぽをふったりしますが、具合が悪いと動かなくなったり、ぐったりしたりします。
こうした変化に気づく目を持つことは、将来の診察や看護にとって大きな力になります。
また、動物の命を支える仕事には、病気の治療だけでなく、けがの予防、食べ物や住環境の工夫、心のケアも含まれます。つまり、「命の全体を見る力」も必要になってくるのです。
「この動物はどうして元気がないのかな?」「どうすればもっと楽しく過ごせるかな?」——そう考える力は、小中学生のうちから育てることができます。
読書やテレビで「知ること」を楽しもう
生き物や獣医さんに関する知識は、学校の勉強以外からもたくさん得られます。
たとえば、図鑑や動物の絵本、テレビ番組、ドキュメンタリーなどは、自然と興味を広げてくれる良いきっかけです。
読書や映像の中で、「こんな動物がいるんだ!」「獣医さんってこういう仕事もしてるんだ!」と感じる体験は、自然とモチベーションにつながります。
「見る・読む・知る」こと自体を楽しめるようになると、学ぶことへの抵抗が少なくなり、将来の勉強もぐっと楽になります。
学校ではどんなことを意識して過ごせばいい?

「獣医さんになるためには、勉強が大切」というのはよく聞く話。
でも、何をどう意識すればいいのか、まだピンとこない人も多いかもしれません。
ここでは、普段の学校生活で“将来につながる力”を育てるためにできることを紹介します。
特別なことではなく、毎日の中で少しずつ積み重ねていける内容ばかりです。
理科・数学・英語を大切にしよう
獣医師になるには、大学で6年間の専門的な勉強をする必要があります。
その中でも、理科(生物・化学・物理)や数学、英語はとても大切な教科です。
まだ小中学生の段階では、「得意」「不得意」よりも、「苦手意識をもたないこと」「学ぶことへの前向きな気持ち」を育てることが大事です。
たとえば、
- 理科:動物の体のつくり、栄養や呼吸のしくみ
- 数学:薬の量を計算する、検査の数値を読み取る
- 英語:海外の情報や論文を読む、外国人の飼い主さんと話す といった場面で、将来とても役立つのです。
「これって、獣医さんにも関係あるかも?」と意識しながら授業を受けると、興味のもち方が変わってくるかもしれません。
動物や自然にふれる経験を大事にしよう
教室の中だけでなく、「動物とふれあう」経験もとても大切です。
学校によってはウサギや鳥を飼っているところもありますし、理科部や科学クラブでは虫の観察や生き物の飼育に関われることもあります。
こうした体験は、動物の命に向き合う姿勢や、「世話をする責任感」を育ててくれます。
また、校外学習や自然体験で、森や川の生き物にふれることも良いきっかけになります。
動物だけでなく、自然そのものに目を向けることで、命のつながりや環境の大切さにも気づけるようになります。
小さな体験でも「楽しかった」「またやりたい」と思えることが大切です。
自分の興味を広げてくれる活動には、どんどん参加してみましょう。
勉強をコツコツ続ける習慣が力に
夢に向かって努力するには、「すぐに結果が出なくても、続けること」がとても大事です。
獣医学部の入試は難関で、合格するには長い時間をかけての準備が必要です。
そのときに役立つのが、小中学生のうちに「勉強をコツコツ続ける習慣」を身につけているかどうか。
1日10分の復習でもOK。自分なりのペースで「やればできた」という成功体験を積み重ねていきましょう。
そしてもう一つ大切なのが、「疑問をそのままにしない」姿勢です。
たとえば授業で「なぜ?」と思ったことや、テレビを見ていて「どうしてそうなるの?」と感じたことを、メモしたり、先生や家の人に聞いてみたりするだけで、理解の深さがまったく変わってきます。
獣医師として動物を診るときも、「この子の体に何が起きているんだろう?」と疑問を持ち、答えを探し続ける力が必要です。小さな疑問を大切にすることが、将来の大きな力になります。
休日や自由研究でできることはある?

学校の勉強だけが、将来の夢につながるわけではありません。
休日や長期休みの過ごし方も、獣医師を目指すうえで大きなヒントになります。
自由な時間を使って、動物や自然にふれる体験をしてみることは、知識以上に「心」を育ててくれる貴重なチャンスです。
動物園・水族館・牧場などで本物にふれよう
図鑑やテレビで見るのも楽しいけれど、やっぱり「本物」に会うと、感じることがまったく違います。
動物園でゾウのしぐさを観察したり、水族館でクラゲの動きに見とれたり、牧場で牛のにおいや大きさに驚いたり——そういった体験は、記憶にも気持ちにも強く残ります。
そうした場所では、動物の行動をじっくり観察してみましょう。
「なぜ今座ったの?」「この子は眠そう?元気?」など、自分なりの“問い”を持つと、見え方がまったく変わってきます。
また、施設によっては飼育体験やバックヤードツアーなども開催されているので、機会があればぜひ参加してみましょう。
「見る」から一歩踏み出して「ふれる」ことで、命への実感が生まれます。
動物に関する自由研究や観察日記にチャレンジ
夏休みや冬休みの自由研究は、自分の興味を深める絶好のチャンスです。
テーマ例としては:
- 「ハムスターの食べ物の好みと体重の変化」
- 「近所で見られる鳥の種類と時間帯の関係」
- 「動物園の動物はどんな工夫で暑さをしのいでいるか」
など、小さな観察から大きな学びにつながる題材はたくさんあります。
大切なのは、自分で調べて、自分の言葉でまとめること。そして、「なんでこうなるんだろう?」という疑問を忘れずに持つことです。自由研究を通して、「知る→考える→まとめる」の力が身につきます。
本や動画で獣医師の世界にふれてみよう
家にいる時間でも、本やインターネットを使って獣医師の仕事をのぞいてみることができます。
たとえば動物病院の仕事を紹介する動画や獣医師インタビューが載っている子ども向けの本などが挙げられます。
こうしたコンテンツを見ることで、「どんなふうに診察しているの?」「病気の動物にどう接しているの?」といったリアルなイメージがつかめるようになります。
“知ること”を楽しむ姿勢があれば、家の中でもたくさんの学びに出会えるのです。
保護者はどうサポートできるの?

子どもが「将来、獣医さんになりたい」と話したとき、保護者としてどう関わればよいのか迷うこともあるかもしれません。でも、特別な知識や経験がなくても、できることはたくさんあります。
ここでは、日常の中で子どもの夢を支えるためのヒントをお伝えします。
興味の芽を育てる体験や情報を提供しよう
子どもが動物に興味を持ったとき、その関心を広げられるような「きっかけ」をさりげなく用意することが大切です。
たとえば、以下のようなことが挙げられます。
- 動物園や水族館、動物ふれあいイベントに連れて行く
- 動物の本や図鑑、動画を一緒に見る
- ペットの世話に一緒に取り組む
こうした体験が、「楽しい!」「もっと知りたい!」という気持ちを後押しし、自然と学びにつながります。
無理に「勉強しなさい」と言わなくても、体験を通じて興味が深まる環境を整えることが、長い目で見て一番のサポートになります。
高校や大学進学の情報も少しずつ伝えていこう
まだ先の話のように感じるかもしれませんが、獣医学部への進学はとても狭き門です。
高校選びや受験科目の選択が大きく関わるため、早めに基本的な情報を知っておくと安心です。
小中学生の段階から、
- 理系科目が重視されること
- 国公立・私立で受験方法や学費が異なること
といった基本的な点だけでも、親子で共有しておけると良いでしょう。
あくまで焦らせるのではなく、「将来の選択肢を知っておく」ことが目的です。
夢を叶える道のりを、家族で一緒に見守っていく姿勢が大切です。
小さな一歩が未来につながる!
獣医師になる夢をかなえるには、長い道のりが必要です。
でも、その第一歩は、「今の自分にできることを楽しむ」ことから始まります。
理科や生き物に興味を持つこと、疑問を大切にすること、動物とふれあうこと。
毎日の中にある小さな「好き」が、きっと未来への地図になります。
今日の一歩が、明日の力に変わる。自分のペースで、夢に向かって進んでいきましょう!
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