帯広畜産大学獣医学科は、全国でも珍しい独自の入試方式を採用している大学です。
前期は数学・理科・英語をまたいだ総合問題形式、後期は小論文と面接という構成で、一般的な「科目ごとの2次試験」とは全く異なります。
つまり、帯広畜産大学を志望する場合、他大学の獣医学科とは勉強の進め方も“合格戦略”も大きく変わるのがポイントです。
この記事では、帯広ならではの入試科目の特徴、求められる力、科目別の対策、面接内容までを、実際の合格者の経験をもとに詳しく解説します。
帯広畜産大学畜産学部共同獣医学課程の入試概要

まず、帯広畜産大学は畜産学部のみの単科大学であり、その中で共同獣医学課程と畜産科学課程の2つに分けられます。今回は共同獣医学課程(以下獣医学科)の入試概要を説明していくので是非参考にしてください。
帯広畜産大学獣医学科の入試方法は前期と後期で異なります。配点、科目、面接の有無、募集人数なども大きく異なるため、詳しく知っておくことが合格への第一歩です。
前期・後期の募集人数と配点の違い
| 前期日程 | 後期日程 | |
|---|---|---|
| 募集人数 | 30人 | 10人 |
| 共通テストの配点 | 660点 | 660点 |
| 個別試験の有無 | 450点 | 400点(小論文+面接) |
| 面接の有無 | なし | あり(200点満点) |
後期は面接と小論文があり、前期とは全く異なった形式で試験が行われるので対策方法が大きく変わってきます。
共通テストの科目と配点(前期・後期)
共通テストの科目構成と配点は以下の通りです。理科は基礎科目の選択ができない点に注意しましょう。
| 教科 | 前期(660点満点) | 後期(660点満点) |
|---|---|---|
| 国語 | 120点 | 120点 |
| 数学 | 120点(数1A+数2B) | 120点(数1A+数2B) |
| 理科 | 160点(2科目) | 160点(2科目) |
| 外国語 | 120点(リスニング48点含む) | 120点(リスニング48点含む) |
| 地歴・公民・地歴公 | 80点(1科目選択) | 80点(1科目選択) |
| 情報 | 60点 | 60点 |
個別試験(2次)の科目と出題傾向
個別試験では、前期と後期で問われる科目が異なっています。
前期試験(450点満点)
帯広畜産大学の前期試験は、全国的にも珍しい総合問題形式で行われます。他大学のように科目ごとの個別試験ではなく、複数科目をまたいだ総合的な問題が出題されるため、まずはこの形式に慣れておくことが重要です。
総合問題では、数学(Ⅰ・Ⅱ・A・B・C)、物理、化学、生物、英語の5分野から出題されます。英語は必答で、残りの4分野から2科目を選び、合計3科目を解答します。各科目150点、合計450点満点の構成です。
問題の難易度は英語・数学・理科いずれも「やや易〜標準レベル」が中心で、合格者の多くは8〜9割ほど得点しています。難問を攻略するというより、標準的な問題を確実に取り切ることが合格の鍵になります。
後期試験(400点満点)
後期試験は、小論文と面接の2つで構成されています。
小論文では、動物や環境問題など獣医学に関するテーマがよく扱われます。また、年度によっては英語で出題されることもあり、対策をしていないと難しく感じる形式です。
面接では、帯広畜産大学を志望した理由や、動物福祉への考え方などが問われます。内容は基本的ですが、自分の言葉でしっかり説明できるように準備しておくことが大切です。
足切りや面接はある?知っておくべき注意点

帯広畜産大学獣医学科の入試では、共通テストと個別試験の得点が重要なのはもちろんですが、後期試験で「面接」が実施されるなど特徴的な注意点があります。ここではその注意点や対策について解説していきます。
共通テストで足切りが実施されることはない
帯広畜産大学獣医学科では前期・後期ともに共通テストの点数による「足切り(第1段階選抜)」は実施されません。つまり、共通テストで失敗してしまった受験生でも2次試験会場に来れば全員にチャンスがあるということです。
2次試験の倍率はどれぐらい?
帯広畜産大学獣医学科は牛や馬などの大動物に強く、毎年全国各地の受験生から非常に人気です。
そのため前期・後期ともに高倍率となります。
倍率の目安
- 前期試験:3.5~5倍前後
- 後期試験:10倍を超えることもある
後期の倍率が特に高いですが、後期の実質倍率(出願後に受験した人の割合)はかなり下がるので、数字ほど絶望的ではありません。高校時代に部活動や課外活動に積極的に取り組んでいた人や、獣医師への志が高い人などは面接で高得点を狙いやすいため合格の可能性は十分にあります。
後期試験では面接が実施されるため対策が必須
帯広畜産大学獣医学科の後期試験では、面接試験が実施されます。
配点は小論文200点・面接200点の合計400点で、どちらも合否に大きく影響する重要な試験です。
後半では、後期入試で実際に合格した同級生から聞いた体験談をもとに、面接の雰囲気や質問内容をわかりやすくまとめています。準備の参考にしてみてください。

帯広畜産大学獣医学科は共通テストの割合が高いものの、2次試験で高得点を取れば十分に逆転が可能です。
実際に私は共通テストリサーチで E判定 でしたが、2次試験で 約95%得点し逆転合格 できました。
最後まであきらめず、総合問題対策をしっかり行うことが大切です。
合格者に聞いた!後期試験の面接の特徴と対策

帯広畜産大学獣医学科の後期試験では、小論文と並んで大きなウェイトを占めるのが「面接試験」 です。
面接は200点という高い配点があるため、対策の仕上がりが合否に直結します。
とはいえ、面接の形式や実際に聞かれる質問、どこを見られているのかは受験生からは見えにくく、不安を感じる人も多いはずです。
ここでは、後期入試で合格した先輩の体験談をもとに、
面接の流れ・質問例・意識すべきポイント をわかりやすく整理しました。
本番でしっかり力を出せるよう、準備の参考にしてください。
面接の形式と所要時間
帯広畜産大学獣医学科の後期面接は、個別面接(試験官3名:受験生1名) の形式で行われます。
所要時間は10〜15分程度 が一般的です。
また、受験番号ごとに20番刻みで区切られるため、番号が後ろの受験生は待ち時間が長く、2時間近く待機するケースもあります。
長時間の待ち時間でも集中力を切らさないよう、当日のメンタル準備も大切です。
実際に聞かれた質問例
後期試験で合格した先輩からの聞き取りをもとに、よく聞かれる質問をまとめました。
- 「帯広に来るのは何回目ですか?」
※ オープンキャンパス参加者は「OCはどうだったか」まで深掘りされることも - 「高校時代に頑張ったことは?」
→ 活動内容や成果など、具体的に聞かれやすい - 「なぜ帯広畜産大学を選んだのか?」
→ 「畜産に強いから」だけでは不十分で、さらに「なぜ畜産分野に興味を持ったのか」まで問われる - 「この大学で何を学びたいか」
- 「アニマルウェルフェアについて知っていることは?」
- 「最後に言いたいことはありますか?」
いずれの質問も “あなた自身の考え” を問うもので、丸暗記の答えでは印象が弱くなります。
自分の経験や価値観とつなげて話せるよう準備しておきましょう
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合格者はどう勉強している?科目別の勉強法と対策

ここでは、実際に帯広畜産大学獣医学科に合格した私が行っていた勉強法を、科目ごとに詳しく紹介していきます。帯広畜産大学の問題は少し特徴があるのでそれも踏まえて紹介しているので受験生は参考にしてみてください!
英語|記述問題は出ない。落ち着いて読めば満点も狙える
帯広畜産大学の英語は長文1題のみです。その設問は正誤問題、タイトルを選ぶ問題、穴埋め問題がほとんどで、記述問題はありません。
したがって、共通テストの英語をスラスラ読める受験生なら十分に満点も狙える難易度です。

私は英語対策として、過去問は必ず25分以内で解くようにしていました。
また、英単語は絶対に疎かにせず、とくに帯広では動物系の語彙が出ることが多かったので、時間があるときに少しずつ覚えるようにしていました。
数学|数2Bを中心に出題。基本問題を早く、正確に解く力が必要
帯広畜産大学の数学は、全体的に基礎レベルの問題が中心です。まれに変わった形式の問題が出ることはありますが、どれも問題文を丁寧に読めば解ける内容が多いのが特徴です。普段から基礎問題の演習を重ねておけば、大きな失点は防げます。
帯広畜産大学の数学は、大問3つで構成されています。
大問1は小問集合で、数2Bを中心に基本的な問題が出題されるため、落ち着いて解くことが重要になります。
大問2は確率や確率漸化式が出題されることが多いです。この大問は、問題文の理解が難しいことがあり、最も差のつきやすい大問になっています。大問1同様、焦らずに問題文をよく読むことが合格に近づきます。
大問3は微分積分が出題されることがほとんどです。難しい関数が出題されることは少なく、基礎問題を普段から解いていればすぐに解法が出てくるような問題ばかりです。

私は数学対策として、まずは基礎問題精講や青チャートで基礎を固めることを徹底していました。帯広の数学は基礎中心なので、このレベルを完璧にしておくとかなり安定します。
また、3科目で100分の試験時間を考えると、数学に使えるのは40分ほど。過去問で「40分以内に解き切る」練習を何度も繰り返し、本番でも時間配分を乱さないようにしていました。
化学|広い範囲から出題。教科書や参考書を隅々まで読んでおこう
帯広畜産大学の化学は基本的な計算問題や知識が広く問われます。
稀に、無機や高分子化合物の範囲で教科書の「コラム」にしか載っていないような題材が出題されることがあります。高得点を狙うには教科書の隅々まで目を通し、広く知識をつけておくことが必要です。
大問は2個で、理論化学、無機化学、有機化学、高分子化合物のいずれかから広く出題されます。
これといった傾向はなく、無機化学と有機化学のセットの年もあれば、理論化学から2題出される年もあります。無機化学や有機化学の範囲でも計算問題が出ることが多く、普段の演習問題が必要になってきます。

私は化学の対策として、まずは重要問題集や化学の新演習で計算力をしっかり鍛えるようにしていました。基礎〜やや発展レベルを固めておくと、帯広の化学は安定して解けるようになります。
知識面は、「化学の新研究」や「チャート式化学」を使って広く抜けをなくす作業を続けました。範囲が広い大学なので、この部分の積み上げがとても役立ちました。
さらに、過去問は30分以内に解く練習をして、本番の時間配分を崩さないようにしていました。
生物|語句問題が多いため、教科書をよく読んで対策
帯広畜産大学の生物は基本的な知識や計算問題、記述問題が出題されます。特に頻出なのは遺伝や代謝の範囲です。共通テスト生物の対策を十分にしていれば知識問題は事足ります。
しかし、共通テストにはない記述問題が出題されるためその対策が必要になります。
大問は2~3個(年によって変わります)。帯広畜産大学が農畜産系の大学であるので、動物の代謝や遺伝、生態の範囲が多く出題されています。どの範囲でも、語句埋め問題が多く、基礎的な語句や知識を定着させておくことが必要です。

私は生物対策として、まず語句問題に強くなるために、教科書や「大森徹の最強講義」をじっくり読み込むことから始めました。帯広は基本知識が広く問われるので、この“読む作業”がかなり大事でした。
演習では「大森徹の最強問題集」や「生物問題集合格177問」を使って、基礎から応用まで幅広く問題に触れることを意識していました。
さらに、過去問を35分以内で解く練習を続けて、本番の時間配分にも慣れるようにしていました。
物理|比較的計算問題は少ない。物理現象の深い理解が大事
帯広畜産大学は農畜産系の大学ということもあり、物理選択者は非常に少ないのが特徴です。
そのため、物理では基礎レベルの問題が中心で、難問が出題されることはほとんどありません。
出題分野は、力学がほぼ毎年。続いて、電磁気・波動・その他の分野がよく扱われます。
対策としては、まず力学と電磁気を優先的に勉強しておくのがおすすめです。
大問は例年2問です。力学はほぼ毎年出題されており、力学・熱力学・電磁気の分野から出題されることが多い傾向にあります。また、動物の行動や帯広の気候を題材にした問題が出ることもあります。

私は物理では、まず公式の意味や現象を自分の言葉で説明できるようにする練習を大事にしていました。帯広は説明問題が多いので、この“理解の深さ”が得点につながりました。
また、動物の行動や帯広の気候が題材になることもありますが、問題自体は一般的な内容なので、特別な対策は不要でした。
使用した教材は「セミナー物理」と「良問の風」で、どの分野も一通り解ける状態に仕上げておきました。さらに、過去問を30分以内で解く練習を続けて、本番の時間配分にも慣れるようにしていました。
帯広畜産大学獣医学科の入試は「特徴理解」と「基礎の徹底」が合格の鍵
帯広畜産大学獣医学科の入試は、総合問題や後期の面接など独自の形式が多く、他大学とは対策が大きく異なります。
しかし、形式を理解し、基礎問題の精度を高めれば十分に合格を狙える入試です。自分の強みと学習スタイルに合わせ、早めに対策を進めていきましょう。



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