北海道大学獣医学部は、全国の獣医学部の中でも人気・実力ともにトップクラスの学部として知られています。
帯広畜産大学と連携して運営する「共同獣医学課程」を採用しており、国際基準を意識した教育環境と高い国家試験合格率を誇ります。
本記事では、そんな北海道大学獣医学部の入試について、前期・後期の違いや必要な科目、試験内容、勉強法まで詳しく解説します。
「北大獣医学部を目指しているけど、何から始めればいいか分からない」
「共通テストや2次試験の配点や出題傾向が知りたい」
そんな方はぜひ、この記事を参考にして合格への第一歩を踏み出してください。
北海道大学の入試概要

北海道大学獣医学部の入試は、「前期日程」と「後期日程」で大きく制度が異なります。配点、科目、面接の有無なども異なるため、まずはそれぞれの違いを整理しておくことが大切です。
ここでは、前期・後期の募集人数や試験科目、共通テストと個別試験の配点について詳しく見ていきましょう。
※北海道大学では「総合入試」制度もありますが、獣医学部(共同獣医学課程)はこれに該当せず、前期・後期の個別入試による選抜となります。
前期・後期の募集人数と配点の違い
北海道大学獣医学部では、以下のように前期・後期で募集人数と配点に大きな違いがあります。
前期日程 | 後期日程 | |
募集人数 | 20人 | 15人 |
共通テストの配点 | 300点 | 450点 |
個別試験の配点 | 450点(英語・数学・理科) | 500(理科+面接) |
面接の有無 | なし | あり(200点満点) |
特に後期は共通テストの比率が高く、面接もある点が特徴です。前期・後期どちらを受けるかで対策の方向性が変わってくるため、早めに方針を決めておくことが重要です。
共通テストの科目と配点(前期・後期)
共通テストの科目構成と配点は以下の通りです。
理科は基礎科目の選択ができない点に注意しましょう。
教科 | 前期(300点満点) | 後期(450点満点) |
国語 | 80点 | 100点 |
数学 | 60点(数ⅠA+数ⅡB/簿記/情報から一つ) | 100点(同左) |
理科 | 60点(2科目) | 100点(2科目) |
外国語 | 60点(リスニング30点含む) | 100点(リスニング50点含む) |
地歴or公民 | 40点(1科目選択) | 50点(1科目選択) |
※理科は「物理・化学・生物・地学」から2科目選択(基礎不可)
個別試験(2次)の科目と出題傾向
個別試験では、前期と後期で問われる科目が異なっています。
✅ 前記試験(450点満点)
・英語(150点)
・数学(150点)
・理科2科目(150点)
英語・数学・理科いずれも標準〜やや難レベル。特に数学の数Ⅲ、英作文、理科の記述が差がつくポイントです。
逆にそのほかの部分は全員取ってくるため、標準レベルの問題は落とさないように心がけましょう。
✅ 後期試験(500点満点)
・理科2科目(300点)
・面接(200点)
記述力が問われる理科試験に加えて、獣医学への志望動機や将来像を問われる面接も合否に大きく影響します。丁寧に対策を考えることが必要です。
足切りや面接はある?知っておくべき注意点

北海道大学獣医学部の入試では、共通テストと個別試験の得点が重要なのはもちろんですが、それ以外にも「足切り」や「面接」など、特徴的な注意点があります。ここでは、それらのリスクや対策について解説していきます。
共通テストで足切りは実施されることがある
北海道大学獣医学部では、前期・後期ともに共通テストの点数による「足切り(第1段階選抜)」が実施される可能性があります。
実際に過去の年度でも足切りが行われた年があり、特に倍率が高くなった年度ではその傾向が顕著です。募集人数に対して大幅に志願者が上回った場合、一定の共通テスト得点率に達していない受験生が第1段階で不合格となります。
たとえば、共通テストでの配点は以下のようになっています。
試験区分 | 共通テスト配点 | 足切り実施の可能性 |
---|---|---|
前期 | 300点満点 | あり(過去実績あり) |
後期 | 450点満点 | あり(後期は特に注意) |
足切りの基準点は毎年変動し、公表されることはありませんが、共通テストで7~8割以上の得点が一つの目安となると考えられます。
「とりあえず出願だけしておく」ではなく、共通テストでしっかり得点できる見込みがないと、そもそも個別試験に進めないリスクがあるという点は必ず認識しておきましょう。
後期試験では面接が実施されるため対策が必須
北海道大学獣医学部の後期試験では面接試験が課されます。配点は200点と非常に大きく、理科試験(300点)と合わせて合否を大きく左右する要素になります。
面接の形式と内容
- 面接は個別面接(または2対1などのパネル形式)
- 所要時間は10〜15分程度
- 内容は「志望理由」「将来のビジョン」「高校時代の活動」「獣医師という仕事への理解」など
- 時事問題や獣医学に関連する話題(例:動物福祉・人獣共通感染症)についての質問がされることもあります
対策のポイント
- 「なぜ北大か」「なぜ獣医師か」という質問に対して、自分の言葉で一貫性のある答えを用意しておきましょう。
- 面接官の質問意図をくみ取り、素直で誠実な受け答えを意識することが重要です。
- 高校の先生や家族に協力してもらい、模擬面接を繰り返すことで自信がつきます。
意識したい知識分野
- 「獣医学とはどんな学問か」「どんな進路があるのか」など、獣医師に関連した知識
- 「動物福祉」「口蹄疫」「SFTS」「獣医師の社会的役割」などの獣医系時事ネタにも一通り目を通しておくのが理想です。
倍率が高くても合格は可能、共通テストと戦略がカギ
北海道大学獣医学部は、毎年非常に人気が高く、前期・後期ともに高倍率となります。
前期・後期の倍率の目安(過去のデータ例)
- 前期試験:3.5〜5.0倍前後
- 後期試験:10倍を超えることもある
後期の倍率は特に高いですが、後期の実質倍率(出願後に受験した人の割合)は下がる傾向があり、数字ほど絶望的ではありません。
倍率の高さ=不合格率が高いではない理由
- 北大の個別試験は得点差が開きにくいため、共通テストで高得点を取ることで合格可能性が大きく上がる
- 出願者の中には記念受験層や滑り止め確保後に回避する層も含まれている
- 特に後期は「共通テスト+理科+面接」で判定されるため、面接対策をしっかり行えば逆転合格も十分に可能
北海道大学獣医学部受験の注意点
- 足切り制度があるため、出願時点で共通テストの自己採点がある程度必要
- 倍率にとらわれすぎず、自分の得意・不得意を考慮して出願戦略を立てることが重要
- 同じ「北大後期」でも、年によって科目の難易度や面接傾向が変わることがあるため、情報収集はマスト
合格者はどう勉強している?科目別の勉強法と対策

ここでは、実際に北海道大学獣医学部に合格した受験生が実践していた勉強法を、科目ごとに詳しく紹介していきます。北大の問題傾向に合わせて、どのような対策が効果的かを知ることで、効率的に得点力を伸ばすことができます。
英語|時間との戦い。設問形式を把握して効率的に攻略しよう
北海道大学獣医学部の英語は、90分で大問4題の構成です。内容はそこまで難解ではありませんが、限られた時間で正確に解き切る力が求められます。設問ごとの特徴を理解し、戦略的に演習することが合格のカギとなります。
大問1・2:長文読解|速読力+内容把握がカギ
大問1・2では、それぞれ600~700語程度の長文が出題され、内容一致や空所補充などの設問に答えます。読解スピードと要点をつかむ力が問われます。
対策法:
- 過去問を時間を計って解く
- 解き直しで「なぜ間違えたか」を分析
- 時間内で全問を解き切るトレーニング
大問3:英作文|添削を通じて表現力を磨こう
大問3は英文読解+英作文(100語程度)です。テーマに対して自分の意見を英語で表現する力が求められます。
対策法:
- 自分で書いた答案を先生や指導者に添削してもらう
- 文法ミスや表現の癖を修正
- 模範解答と比較しながら語彙・構文の幅を広げる
大問4:会話文や要約問題|形式に慣れて得点源に
大問4では、会話文や空所補充・要約問題などが出題されます。形式は年度によってやや異なりますが、文法力と文脈把握力の両方が求められます。
対策法:
- 過去問や類題で形式に慣れておく
- 最後に回して時間が足りなくならないよう注意
- 文法問題として割り切って解く柔軟性も必要
時間配分の工夫が合否を分ける
90分で4題すべてを解く必要があるため、時間配分は非常に重要です。おすすめは以下のような時間配分です。
- 長文読解:各題20分
- 英作文:25分
- 大問4:残りの時間で対応(約15〜20分)
本番を想定した過去問演習で、自分なりの解答順序と時間感覚を身につけましょう。
数学|数Ⅲを中心に出題。典型問題を正確に解ける力が重要
北海道大学獣医学部の数学は、理系学部として標準的な出題傾向であり、数Ⅲを中心とした構成となっています。難問奇問は少なく、典型的な問題を確実に解けるかどうかが得点のカギを握ります。
出題形式と時間
- 試験時間:120分(理科と合わせて)
- 解答形式:記述式(誘導あり)
- 大問数:4〜5題
※数学単独の時間配分は明記されていませんが、実際には数学と理科でほぼ60分ずつを目安にすると良いでしょう。
出題範囲と頻出分野
- 数IA・IIB・IIIからまんべんなく出題
- 特に頻出なのは:
- 微分積分(数III)
- 複素数平面
- 数列
- ベクトル
- 整数・場合の数(頻度は低め)
微積分(数Ⅲ)と数列・ベクトルが安定して出題されるため、この3分野は重点的に対策すべきです。
対策のポイント
- 教科書レベルの基本問題をまず確実に
- 標準的な入試問題を時間内に解く練習
- 誘導形式の記述問題に慣れる(東大・京大型ではない)
難易度としては難問が出るわけではなく、典型問題を制限時間内に正確に処理できる力が重視されます。共通テスト型ではなく「旧帝大らしい丁寧な記述力」が問われるため、解法の流れをしっかり書ける練習をしましょう。
具体的な勉強法
- 数IIIの微分積分は毎日演習して感覚を保つ
- 過去問は時間を測って通しで演習+解き直し
- 分野別の頻出問題集(『1対1対応の演習』『青チャート』など)で穴を潰す
- 解答を書く際の論理の筋道と計算力を養う
化学|知識+計算力のバランスが問われる。苦手分野は早めに潰そう
出題傾向と特徴
- 出題範囲は理論化学・無機化学・有機化学から広くカバー
- 大問数:3問程度
- 記述式・計算問題が中心で、典型的なパターン問題が多い
特に理論化学では計算問題(化学反応式、電池、溶解度、気体の法則など)が頻出です。
対策のポイント
- 教科書の基本を理解し、暗記事項を整理
- 反応式や構造式の書き方を正確に
- 計算ミスの防止が得点差に直結
勉強法の例
- 教科書+セミナー化学などで基礎知識を網羅
- 理論・有機の演習は『重要問題集』や『化学の新研究』などで補強
- 過去問演習は時間配分を意識して行う
生物|広い範囲から出題されるが、深い知識より“理解力”が問われる
出題傾向と特徴
- 出題範囲は遺伝・生態・生理・細胞・植物・動物の分類など広範囲
- 記述問題・考察問題が中心
- グラフや実験データの読み取りを含むことが多い
丸暗記では太刀打ちできず、「なぜそうなるのか?」を問う出題が多いのが北大生物の特徴です。
対策のポイント
- 図やグラフの問題に慣れる
- 語句の丸暗記よりも、背景の理解を優先
- 問題演習は自分で説明する練習が有効
勉強法の例
- 教科書や図説の読み込み(繰り返し+イラスト活用)
- 『生物重要問題集』や『生物基礎問題精講』で標準問題に慣れる
- 過去問演習で「どう説明するか」を意識
物理|計算力と論理力が求められる。基本法則の応用力がカギ
出題傾向と特徴
- 北海道大学の物理は、力学・電磁気・熱力学・波動などの幅広い分野から出題されます。
- 標準的な問題に加え、思考力を問う設問や論述形式も含まれるのが特徴。
- 大問3〜4問構成で、記述やグラフ作図を含む出題も多いです。
特に以下のような出題傾向があります。
- 力学・電磁気の比重が高い
- 公式の丸暗記では太刀打ちできず、物理現象を言葉で説明する力が必要
- 実験設定を読み解いて物理法則を適用する力が問われる
対策のポイント
- 基礎公式の意味や導出過程を理解しておく
- 文章で物理現象を説明する練習(論述問題対策)
- 問題文を正確に読み取る力(特にグラフ・実験設定問題)
- ミスを減らす計算力(途中式の確認を習慣に)
勉強法の例
- 教科書+基礎問題精講などで基本の定着
- 『良問の風』『名問の森』などで標準~応用演習
- 北大の過去問演習では「論理展開」と「解答スピード」を意識
- 記述対策として、模範解答を写すだけでなく「なぜその式が出てくるのか」を自分で説明する
物理選択者へのアドバイス
- 化学や生物より選択者が少数派となる傾向にありますが、得意であれば大きなアドバンテージにもなります。
- ただし、他の理科1科目(通常は化学)とのバランスの良さも重要。
- 生物よりも「高得点か低得点かがハッキリ分かれる」科目なので、得意な人以外にはややリスクが高めです。
共通テスト・2次試験対策の始めどきと進め方
北海道大学獣医学部に合格するためには、「共通テストで勝負が決まる」と言っても過言ではありません。特に後期入試では共通テストの配点比率が高く、確実に得点できる力が求められます。
共通テスト対策:高2の秋から着手が理想
- 高2の秋〜冬に初見の模試形式で挑戦し、自分の弱点を把握するのがスタートライン。
- 苦手科目の基礎を固めつつ、時間配分と問題形式に慣れる演習を継続しましょう。
- 高3春以降は過去問・予想問題を使い、実践的な演習と復習のサイクルを意識。
2次試験対策:高3春から記述式に慣れ始める
- 北大の2次試験では、記述力と論理的思考力が重視されます。
- 英語・数学・理科すべてにおいて、記述問題の演習は早めにスタートすべきです。
- 特に数学では「なぜその式になるのか」を説明する力が重要です。
- 解答の流れを意識し、添削・振り返りによる精度向上を目指しましょう。
合格に近づく勉強スケジュールと準備のコツ

北海道大学獣医学部に合格した受験生の多くは、早期の基礎固めと、秋以降の過去問演習への切り替えを徹底していました。ここでは、学年ごとの勉強の進め方や、C判定から逆転合格を狙うポイントを解説します。
高1〜2年での基礎固めが合否を分ける
- 合格者の多くは、高2までに数学・化学・生物の基礎を完成させていました。
- 定期テストで得点することを目標にせず、入試基準での理解と演習を重視することが大切です。
- 早い段階で「勉強の習慣化」と「毎日の積み重ね」を当たり前にしておきましょう。
秋以降は過去問演習と記述対策にシフト
- 高3の夏休み前に共通テストの基礎対策を終えておくと、秋以降に2次試験対策へ集中できます。
- 北大の過去問を使い、科目ごとに時間を計って本番形式で演習しましょう。
- ただ解くだけでなく、記述の添削や復習・解き直しによる定着が不可欠です。
C判定からの逆転合格も十分に可能
模試でC判定やD判定だったにもかかわらず、合格をつかんだ受験生も少なくありません。
特に北海道大学では受験者のレベルが高いため、「満点を取る力」よりも「大きな失点を避ける力」が重視される傾向があります。そのため、完璧を目指すよりも、確実に得点を積み重ねる姿勢が合否を分けるポイントになるのです。
取りこぼしを減らす学習を心がけ、最後まで得点力を磨き続ければ、逆転合格のチャンスは十分にあります。
北海道大学獣医学部に合格するために大切なのは「基礎を固めて、計画的に継続すること」
北海道大学獣医学部に合格するためには、次の3つの力が欠かせません。
- 教科書レベルの基礎を徹底的に固めること
→ 北大は奇をてらった問題が少なく、基本を深く理解している人が安定して得点できます。 - 共通テスト・個別試験それぞれに合った対策をバランスよく進めること
→ 共通テストは早めに仕上げて秋以降は記述に集中するなど、時期に応じた戦略が必要です。 - 毎日の勉強を継続し、弱点を放置しないこと
→ 模試や過去問を通じて課題を見つけ、計画的に克服していく姿勢が合格に直結します。
入試制度や出題傾向を正しく理解し、自分に合った対策を実行していけば、C判定からの逆転合格も夢ではありません。この記事を活用して、北大合格への一歩を踏み出しましょう。
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