獣医学生の中には、製薬会社でのお仕事を目指している方も多いのではないでしょうか?
また製薬会社でのお仕事に興味がありながらも、獣医さんが製薬会社でどのような仕事をするのかイメージがわかない人もいると思います。
今回は小動物臨床から人体薬の製薬会社に転職された先生にインタビューしました!
製薬会社での勤務に興味がある人はぜひ参考にしてください。
この記事は、こちらの記事の続きとなっております。ぜひ合わせてお読みください👇
人体薬の製薬会社でのお仕事とは
ーーそれでは転職されてからの話になるのですが、外資系の製薬会社に就職されてから何か思い描いていた部分とのギャップはありましたか。
そうですね。ギャップはありました。
自分で言うのもちょっと恥ずかしいのですけれど、病院にいた時から結構いろいろな論文を読むようにはしていました。特に小動物だと人の医療を踏襲して発展してきた歴史もあるので、人間のほうのガイドラインをちょこちょこは読んで情報収集に努めていたつもりでした。
しかし入ってみると思ったより裾野が広いというか、人の医療とそれほど遜色ないだろうと思っていたような領域でも、こんな作用機序の薬があるのかとか。
私も小動物で研究していたわけではないので、自分の知見がだいぶ狭かったのはあると思うのですけど。思ったより勉強することが多いなぁというのは正直感じました。
ーー少し関連するのですけれども、大体どのようなお仕事をしているかをお聞きしてもよろしいでしょうか。
私が今ついてるのはMSLというポジションでメディカルサイエンスリエゾンという職種です。
営業目的ではない、医学的な見地から各領域のエキスパートの先生方や研究者、医師から今後の医療を良くしていくためにはどういった課題があるかというようなことを聞き、その課題を会社に持ち帰って共有して、会社として取り組めることがあるか、これから開発する薬があればどういった患者さんに適用するのがベストかというようなお話をするところです。
なので、営業との線引きが難しいのですけど、営業活動と取られるとペナルティーを受けるようなお話をする立場なので、法規制などといった縛りは結構大きいポジションになってます。
ーーお仕事の大体の1日の流れは決まってらっしゃるんですか。
そうですね。一応フレックス制なのですが朝9時から5時15分までがコアタイムです。
午前中に大体社内会議から入ることが多くて、お昼から午後にかけて先生との面談があったり、やり残している事務仕事を片付けたりします。リモートでも可能なのですが、出勤もたまにありますね。
あとアメリカ資本の会社なので、研究所や上層部が基本的に米国にいて、重要な会議などがウェブ会議で23時開始とかになることがあって、それはちょっと辛いなと思う時はあります。
ーーそれはすごいですね。英語で会議なのですか。
はい。英語で会議なので結構英語力はずっと求められるのですけど。
ーー生々しいお話なのですが年収についてお聞きしてもよろしいでしょうか。
だいたい600万くらいですね。
ーーわかりました。ありがとうございます。
やりがいと難しいこと
ーーなるほど。そのようなお仕事を進めていく上でやりがいになる部分というのはどのようなことが挙げられますか。
もともと新しい知識に触れるのが結構好きだったので、論文などを日常的に読むのはすごく楽しくて好きです。
ただ自分で手を動かして実験してデータを作るとか、自分で治療して新しい治療法を見つけて報告するとかそういうポジションではなく、データを創出できるような仕事は少ないです。
なので、そういったところで向き不向きはあると思うのですけど、常に一個新しい知見に触れていたいなっていう人にはすごく向いてると思います。
ーーありがとうございます。逆にお仕事をしていて難しいなとか、自分の感じていることと違うなと感じる部分はありますか。
そうですね。結構知識がものを言うところなので、自分では結構やってるつもりでもやはり周りの人や研究者や医師と対等な知識のやりとりができるくらいの知見が自分にないなと思い知る時は結構辛いです。
あとは本当に実験が好きな方や、自分で手を動かしてデータ作るのが好きな方にはもしかしたらちょっと物足りないかもとは思います。
ーーたしかにそうですね。そういったお医者さんたちと同じレベルで話さないといけないということですもんね。
そうですね。自分は人医療のバックグラウンドではないので、どうしてもよくわからないこととかやはりあるんですよ、人間と動物の違いというか。ただそこも面白いなぁと思える方であれば、すごく楽しいと思います。
実際今同じ部署に30人ぐらいいるのですが、私以外にも3名獣医師の方がいらっしゃいます。
いずれも研究されてた方なのですけど、それぞれ傍目には楽しくお仕事されてると思うので。
獣医学生へ「"誠実さ"を忘れずに」
ーーこれから同じ道を目指していく学生がいると思うのですが、そういった人たちが学生のうちにやっておくべきことや、身に付けておくと役立つようなことはありますか。
そうですね。まず姿勢的なところとしては動物や科学というものに真摯に向き合う姿勢を忘れずにいるのがすごく大事ですね。臨床でも大事ですし、製薬企業では動く金額が自分の活動によって大きくなってしまったりもするので、へまをするとその会社としての不正とかそういったものにも関わります。
なので、臨床でも企業でも誠実でいようという姿勢がかなり大事かなというのが1つです。
また実際に職場では動物の臨床でもいろいろなガイドラインがすぐに改定されますし、新しい薬も本当にたくさん出るので、常にアップデートを忘れないということは臨床でも企業でも本当に大事だと思ってます。
お仕事以外にnoteも
ーーありがとうございます。先生はnoteもやってらっしゃると思うのですけれども、そちらはどういった理由で始められましたか。
あれは本当に獣医師としての自分の動物が好きな気持ちを忘れたくないなという思いで始めました。
今は動物病院から離れてしまっているのですが、基本的にはやっぱり動物が好きですし、臨床も好きなので、今でも結構獣医学系の雑誌を未練がましく読んでいます。
それで自分なりに面白いなと思ったことを他の方にも面白いと思っていただけるのではないかといった思いや、あとは子供にも動物っていいよっていうのいつか伝えられればなぁという思いから細々と続けております。
今後は後進の人々を支えたい
ーーありがとうございます。少しだけ関連するかもしれないのですが、今後お仕事やnoteなどを続けていってどういったことを目指しているのでしょうか。
そうですね。まず企業に関してはなかなか難しいのですがなるべく続けて、子育てや介護などいろいろなライフスタイルの変化で悩まれている方にこのような形でもしっかりキャリアを形成できるということを示せるような先駆者と言いますか、前例になりたいです。
また後輩の方や若い方が同じように困ってれば、助けられるようなポジションになりたいと思っています。自分自身も大学時代は就職のことでだいぶ悩んで、本当に今でも公務員やっぱりやるべきだったかなぁとかいろいろ思うところはあるんですけども、悩んだ末にその時最善だと思ったことをやってきているので、本当に悩んでいる後進の方の力になりたいと強く持ってます。
noteに関してはあれは細々とやってるのですけど、いつか何らかの形にしたいなぁというのが個人的な目標です。
ーー今回は、小動物臨床から人体の製薬会社のほうに今勤めていらっしゃる先生にお話をお伺いしました。今回は本当にありがとうございました。
ありがとうございました。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、小動物臨床から人体薬の製薬会社に転職された先生にお話を伺いました。
働き方は人それぞれであり、その人のライフスタイルに合わせて働くこともできるのだということを教えていただきました。
しかしどんなお仕事をするにしても、今やっていることに真面目に取り組む姿勢が大切だということでしたね。
獣医学生の方は、先生の言葉を忘れずにこれからも頑張りましょう!
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