犬のリードなし散歩、最近ではあまり見かけなくなりましたが、それでも一定数の人は行っているようです。犬があまり好きではない人や苦手な人からすると、犬が飼い主さんの手を離れているのはとても怖いですよね。
犬のリードなし散歩に出くわしたとき、「通報する」という意見がインターネット上で多く見受けられました。では、そもそも犬をリードなしで散歩させることは法律に違反しているのでしょうか?
違反している場合としていない場合では「通報」の意味合いが大きく変わってくるので、気になるところですよね。
この記事では、犬をリードなしで散歩させることは法律違反なのか、もし通報した場合やめさせる力はあるのかどうかについて詳しく解説をしていきます。ぜひ最後まで読んでくださいね。
リードなし散歩は法律違反!
結論から言うと、リードなし散歩は立派な法律違反行為にあたります。
では、どういう法律に違反しているのでしょうか?
動物愛護法に規定されている
リードなし散歩は、動物愛護法違反にあたります。
動物愛護法とは、正式名称を「動物の愛護及び管理に関する法律」といい、動物を飼う上での様々な注意点について定めてあります。
この動物愛護法の7条では
「動物の所有者、または占有者は、動物が人の生命や身体、財産に害を加えたり、人に迷惑を及ぼしたりすることのないように努めなければならない」
と定められています。
つまり、リードなし散歩は「人の生命や身体に害を与えたり、迷惑を及ぼす行為」であるために動物愛護法の違反になるわけです。
また動物愛護法を受けて、『家庭動物等の飼養および保管に関する基準』が定められています。
この基準により、犬を屋外で運動させるときには、犬を制御できる人が原則としてリードや鎖を着けての並走を行うこと、犬の突発的な行動に対応できるようこれらの点検や調節などを行うことが定められています。
地方公共団体により規定されている
また、日本中ほとんどの地方公共団体によっても、リードなし散歩は厳しく規定されています。
というのも、動物愛護法の9条には
「地方公共団体は、動物の健康及び安全を保持するとともに、動物が人に迷惑を及ぼすことのないようにするため、条例で定めるところにより、動物の飼養及び保管について動物の所有者又は占有 者に対する指導をすること、多数の動物の飼養及び保管に係る届出をさせることその他の必要な措置 を講ずることができる。」(参考:動物の愛護及び管理に関する法律−環境省)
と定められています。そのため、多くの地方公共団体がリードなし散歩を厳しく取り締まっています。
例を挙げると、兵庫県や東京都では厳重注意に加え、罰金が発生することもあります。
通報して意味はあるの?
結論から言うと、リードなし散歩を通報することには大きな意味があります。
つまり、警察・司法が動くということです。
ここからは、リードなし散歩を通報した場合実際どのようなことが起こるのか見てみましょう。
動物愛護法違反による懲役・罰金
先述のように、リードなしで散歩させることは動物愛護法違反にあたります。
同法上にリードなしで散歩をさせることによる罰則については記載がありませんが、動物の虐待を行なった場合は最長で5年の懲役、500万円以下の罰金が課せられます。同じ罰則が与えられるとは限りませんが、法律そのものは同じですので可能性はゼロではありません。
また、地方公共団体の条例の中にも罰則を課すものがあります。例えば兵庫県の場合、リードなしの散歩を行なった飼い主には罰金10万円が課せられます。
怪我をさせてしまった場合の飼い主に生じる責任
リードなし散歩を行い別の人に怪我をさせてしまった場合、飼い主の法的責任は非常に大きなものとなります。民事上の損害賠償請求を受ける可能性や、場合によっては刑事責任を負わされる可能性もあります。
例を挙げると、2018年8月のある事件が該当します。
飼い主から離れて散歩していた犬が、別の散歩中の犬に噛み付き4針縫う大怪我を負わせたのです。
これに対して、噛まれた犬の飼い主は損害賠償を求めて裁判を起こし、東京地裁はリードなしで散歩させていた飼い主に約15万円の賠償命令を下しました。
このように、リードなしで犬を散歩させ他の人に怪我を負わせた場合、飼い主には大きな責任が生じるのです。
リードなし散歩を見かけたらどうしたらいい?
ここまで、リードなしで散歩をすることの危険性について説明してきました。
では、実際にリードなしで散歩している人を見かけた場合どうしたら良いのでしょうか?
すぐに通報する必要はない
リードなしで散歩している人を見かけた場合でも、すぐに通報する必要はありません。
話せばわかってくれる人かもしれませんし、動愛法違反であることを知らないだけかもしれません。
ひとまず話をしてみて、様子を見てみましょう。
どうしようもない・事故が起こりそうな時は通報を!
話し合いが通じない場合や、見ていて明らかに危険な場合は、通報しても構いません。
その場合、証拠や現場の状況が必要になることもあるため、写真を撮るなどその場の状況を記録しておくようにしましょう。
リードなし散歩はれっきとした法律違反!
ここまで、リードなし散歩について説明してきました。
リードなしで犬の散歩をすることはれっきとした動物愛護法違反にあたります。
他の人に迷惑をかけてから、事故が起こってからでは遅いので、未然に防ぐことができるよう注意をしていきましょう。
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