「自分の動物病院をもちたい!」そんな熱意をもって獣医学科に入った、または入りたいと勉強に励む学生さんは多いと思います。
獣医師という仕事には大きなやりがいを得られるというメリットがあり、給料ではなく動物たちのために働くべきであると感じる方も少なくないかもしれません。
しかしやはり情熱だけではなんともならないのがお金です。
というわけで今回は獣医師、特に自ら病院を開業した獣医師の年収について詳しく解説していきたいと思います!
加えて病院勤務医との年収の差や開業後の変化、これからの社会での新しい動物病院の必要性についても説明していきますので、将来に思い悩む獣医師のタマゴたちのお役に立てれば幸いです!
病院勤務獣医の平均年収ってどのくらい?
動物病院を開業するには、まず勤務医として経験を積む必要があります。
開業を目指す学生さんが一度は通る病院勤務医ですが、具体的な年収や待遇が気になる学生さんも多いのではないでしょうか?
以下では多くの方が気になる病院勤務医の平均年収について紹介していきます!
獣医師全体と病院勤務獣医師の年収を比較!
まず、獣医師全体の平均年収は厚生労働省の調査では600万円弱になっています。
次に最も一般的な就職先と考えられる病院勤務獣医師の平均年収はどうでしょうか。
それはズバリ、450万円程度です。獣医師全体と比べると低めですね。
この理由のひとつとしては病院勤務の小動物獣医は修行中の若い獣医師さんが多いからであると考えられます。
病院勤務獣医師の初任給について
近年動物病院の初任給は上昇傾向にあり、2022年現在小動物獣医の初任給相場は30~35万円となっています。
ただし獣医師の仕事は小動物臨床や畜産、研究など多岐にわたるので統計の出し方によって平均年収にばらつきがあります。
また、お給料も病院によって様々です。
よって獣医師全体の平均年収などの情報は鵜呑みにはせず、自分で病院に出向きしっかりとリサーチをすることが大切でしょう。
開業前に知っておくべきこと
病院勤務医を経験したのち病院を開業するにあたって、資金や経営方針、土地の問題に人材集めなど考えなければならない事は山積みです。
よってここからは開業にあたって誰もが最初に考える素朴な疑問について答えていきたいと思います。
何歳くらいで開業するべきなの?
独立開業と聞いて「きっと経験を積んで院長クラスの地位を経てから自分の病院はもつものだろう」と考える方も多いと思います。
しかし、開業に必要な資金を自分だけで用意するのは至難の技ですので、基本的には銀行でお金を借りることになります。
その際開業の資金集めにあたって最も銀行の融資が通りやすいのは30代~40代なので、その時期に開業する方が最も多いのです!
その理由としては、一般的に最も精力的に働ける体力があること、病気になりにくい年代であること、ある程度経験を積んだ世代であり貸し倒れる可能性が低いこと等が挙げられます。
その結果開業する時期として、院長クラスではないものの経験を積んだ中堅の30歳前後が最も多いそうです。
資本金の目安は3000万円!?
動物病院の開業資金の目安は3000万円と言われています。
この中で最もお金がかかるのが医療機器代です。より良い医療環境を整えようとすると医療機器代をいかに賢く仕入れるかが重要になってきます。
最近の動物病院の開業医の間ではオークションで安く医療機器を仕入れる方が増えており、こうした医療機器は院長の高齢化や後継者不足によって閉業する病院から医療機器がオークションに出されるそうです。
「オークションなどを賢く利用すれば開業費用を半分程度に済ませられるのではないか」と考えている開業獣医師もいらっしゃるのだとか。
動物病院の市場規模について
開業して自分の動物病院をつくろうとする際には、やはり「需要と供給が一致しているか」が重要です。
実は、近年の傾向として犬猫の飼育頭数は減少していますが動物病院の数は年々増えています。(参考;2021年全国犬猫飼育調査実態https://petfood.or.jp/topics/img/211223.pdf)
このような状況下で開業して生き残るには、適切な経営戦略を練って戦っていくことが必須だと考えられます。
獣医師としての腕だけではなく経営手腕も問われてくるのが難しいところですね。
ただ、コロナ禍でペットの飼育頭数は確実に増えましたし、最近はプレミアムペットフードなどペットの環境に気を遣う飼い主さんも増えてきましたので需要が必ずしも減っているとは言い難いのではないでしょうか。
開業獣医の年収は?
ここからは皆さんが気になって仕方がないであろう開業医の年収について解説していきたいと思います!
また、勤務医時代と比較して開業後は年収がどう変化するのかについても言及していきます。
開業獣医の年収の目安について
ここまで読んで「開業獣医の年収って勤務医と比べてどうなの?」と疑問に思う人も多いでしょう。
実は開業獣医師の年収には大きな幅があり一概に言いにくいのが現実です。
ただ大きな目安としては500万円~1000万円と考えられています。
また開業して軌道に乗れば大きなお金が病院に入ってきますが、そのお金は病院の資金繰りに回されるのが大半なので自分のもとに入ってくるお金の割合はあまり高くないとも言われています。。
目の前を通っていくお金が多いみたいですね。
開業獣医の年収は経営次第?
先ほど開業獣医の年収は500万円~1000万円と述べましたが、経営次第では年収3000万円以上も夢ではありません。
しかし同時に開業しても経営不振で長く続けられない病院があることも同時に頭に入れておくことが必要です。
銀行の融資額、すなわち借金の相場は3000万円程度なのでこれを毎年少しずつ返しながら経営をして利益を出していかなければならないのです。
獣医師の仕事の中では開業はハイリスクハイリターンなものであると認識しておいたほうが良いかもしれません。
高年収獣医になるには?独立開業以外の選択肢について
やはり獣医師になったからには自らの技術で成功を収め、高い年収をゲットしたいと考える方も多いでしょう。
しかし獣医のお仕事は幅広く、高年収になる方法は開業だけではありません。
高年収になるための職業として開業しか選択肢を知らない方は、是非この記事で他の働き方を視野に入れてみてください!
第三者承継を利用する
「開業はしたいけど0から病院を作るのは大変そう…」という方は院長の高齢化や後継者不足で閉業を考えている病院を受け継ぐという手もあります。
最も大きな関門である3000万円の開業資金をかなり安く抑えられるでしょう。
自分の病院を譲ってくれる第三者を探すという難しさはありますが、お金の問題はかなり小さくなります。
また、カルテや患者様、スタッフ等も受け継いだ状態からスタートできるため、病院経営までのハードルは非常に低くなります。
こちらの本で詳しい事例が紹介されていますので、興味のある人はご確認ください。
勤務医で高い給料をもらえる病院に行く
勤務医といっても給料は病院・立場によってピンキリです。
ずっと同じ場所で働き続けるよりも、より良い待遇をもたらしてくれる病院を探してキャリアアップしていくのがこれからの働き方ではないでしょうか。
ブラックな病院であることに気づかず心身をすり減らしていくのを防ぐためにも、他の病院をリサーチすることは大切です!
小動物にこだわらないなら転職もアリ
小動物臨床をやりたくて獣医になった人は多いと思います。
しかし、重労働で休みも少ない病院勤務が苦しい人も一定数いるのが現状です。
そんなときは大動物獣医師や製薬・食品業界、公務員など幅広い獣医の仕事を活かして、より自分に合った職場を探すのも一つの方法です。
特に小動物臨床の経験者は企業などに好待遇で迎えられる可能性が高いので、勤務医で限界を感じた方は転職も視野に入れてみましょう!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
今回は開業獣医の年収ということで、少し厳しい意見も取り入れつつお話させていただきました。
しかし、たとえ険しい道のりでも自分の病院をもつという素敵な夢を諦めずにがんばってほしいと思います!
この記事で開業の夢をより具体的に、現実味のある話として考えてもらえたら嬉しい限りです。
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