「獣医師国家試験を受験する予定だけど、合格率はどれくらいなんだろう?」「獣医師国家試験の難易度は高いのかな?」と疑問に思っている方はいませんか?
獣医師になるために避けては通れない国家試験、どれくらいの難易度なのか事前に詳しく知っておきたいですよね。
そこで今回の記事では、獣医師国家試験の難易度や国家試験の勉強法について詳しく解説を行っていきます。
国家資格「獣医師」とは
国家資格「獣医師」とは、取得することでさまざまな動物の診察・治療や衛生的な検査、薬物や実験動物の扱いなど多くの業務を行えるようになる資格です。
この国家資格を得るためには全国の「獣医学科」で6年間学び、必要な単位をすべて取得したうえで「獣医師国家試験」に合格する必要があります。
そのため、獣医師国家資格を取得するために必要なステップは以下の3つといえます。
- 全国16大学の「獣医学科」に入学する
- 獣医学科で6年間学び、必要な単位をすべて取得する
- 獣医師国家試験に合格する
獣医学科がある大学は少なく毎年多くの受験生が志望するため、各獣医学科の倍率はとても高いです。ここを加味すると、国家資格「獣医師」の資格取得は狭き門といえます。
獣医師国家試験の難易度はどれくらい?
ここまで紹介した国家資格「獣医師」ですが、資格取得のための難易度はどれくらいなのでしょうか。
結論から言うと、獣医師国家試験の難易度は決して低くありません。
一般的には獣医師国家試験の合格率は90%以上とされており、簡単な印象を受ける方も多いでしょう。しかし、獣医学科で6年間学び、かつ国家試験のための勉強をしっかりやることでこの合格率は達成できています。
そこでここからは、獣医師国家試験の実際の難易度について紹介をしていきます。
獣医師国家試験の難関1:出題範囲が広い
獣医師国家試験の難易度を高める要素の一つとして、出題範囲の広さが挙げられます。
獣医師国家試験に出題される問題は、獣医学科で6年間学んだ内容すべてから出題されるため、非常に範囲が広いです。
大別すると以下の4種に分けられており、これらを網羅的に頭に入れておく必要があります。
- 衛生
- 基礎
- 衛生
- 臨床 (参考:農林水産省 獣医師国家試験出題基準)
これらはそれぞれ複数の分野に大別され、これらすべてを適切に頭に入れておくことは非常に難しいといえます。
獣医師国家試験の難関2:勉強期間が短い
獣医師国家試験の難易度を高めるもう一つの要素としては、勉強時間の短さが挙げられます。
獣医師国家試験にむけての勉強は、基本的に卒業論文のための研究・発表がひと段落ついてから本格的に行います。
国立大学の場合、卒業論文の発表・審査は11月中旬〜下旬に行われることが多く、基本的に2月に行われる獣医師国家試験への勉強期間は3か月足らずです。
高校生が大学受験に向けて行う受験勉強の期間は半年〜1年ほどが一般的なため、獣医師国家試験にむけての勉強期間は大学受験の半分以下ということになります。
膨大な量をこの期間で頭の中に入れる必要があるため、勉強期間の短さが獣医師国家試験の難易度を高めているといっても過言ではないでしょう。
獣医師国家試験の難関3:対策問題集のバリエーションが少ない
獣医師国家試験の難易度を高める最後の要素は「対策問題集の少なさ」です。
医師や薬剤師、歯科医師、看護師のようなほかの医療系国家資格の場合、書店へ行くと多くの国試対策問題集が売り出されています。
ところが獣医師の場合、毎年の受験生が少ないこともあり国試対策問題集のバリエーションがとても少ないです。そのため、勉強がしやすいとはいえず、難易度が高いといえるかもしれません。
各大学で問題集・解説集を作ったり、有志が作った情報のまとめを利用するなど、各々での工夫がとても大切になるでしょう。
獣医師国家試験の概要
ここまで紹介した獣医師国家試験ですが、概要は以下のようになっています。
問題構成
獣医師国家試験は、以下のような問題構成で出題されます。
- 必須問題:獣医療・獣医学の基本的事項、獣医学の臨床的事項、衛生学に関する事項から50問
- A問題(学説試験):獣医療・獣医学の基本的事項から80問出題
- B問題(学説試験):衛生学に関する事項、獣医学の基本的事項から80問出題
- C問題(実地試験):衛生学に関する事項、臨床的事項で、獣医療の現場で起こりうる基本的な事項について60問出題
- D問題(実地試験):衛生学に関する事項、臨床的事項で、獣医療の現場で起こりうる総合的な事項について60問出題
各問題の傾向をきちんと理解したうえで、適切な勉強を進めていくのが大切です。
合格の基準
獣医師国家試験の合格基準は年によって変わる可能性がありますが、基本的には以下を基準として、これらをすべて満たしているかどうかで合否が決定されます。
- 必須問題の正答率が70%以上である。
- A問題、B問題、C問題、D問題の合計正答率が60%以上である。
注意点として、必須問題はそれ単体で70%以上の正答率をマークする必要があり、ここを落としてしまうと、たとえA~D問題で十分な正答率をマークしていたとしても合格することは出来ません。
試験日程・試験地
第74回獣医師国家試験の日時・試験日程は以下のようになっています。
第74回獣医師国家試験の試験地は北海道、東京都、福岡県の3か所で、それぞれ以下の場所が試験地となっています。
北海道会場 | アスティ45 16階 会議・研修施設ACU札幌市中央区4条西5丁目 |
東京会場 | TOC有明 東京都江東区3丁目5番地7号 |
福岡会場 | 代々木ゼミナール福岡校 福岡市博多区博多駅前4丁目2番地25号 |
時間や場所を把握しておくだけで、勉強のしやすさや試験のイメージしやすさは相当変わります。正しい情報を整理して頭に入れておき、適切に勉強を勧められるようにしましょう。
獣医師国家試験に合格するための勉強法・勉強時間
ここまで獣医師国家試験について解説を行いましたが、やはり大切なのは「どのように勉強に取り組むか」です。
ここからは、獣医師国家試験に向けてどのような勉強をしたらいいのか、先輩方はどのような勉強をしていたのかについて解説を行います。
とにかく過去問が大切
国家試験の勉強において大切なのは、とにかく過去問に取り組むことです。
過去に出題された問題には、国家資格の取得のために国が「身に付けておくべき」と判断した知識や考え方が詰まっています。
過去10年近くの過去問をしっかりと解いて頭に入れ、すべての知識がつながった状態にしておきましょう。
スケジュールを立てて計画的に勉強する
国家試験の出題範囲は、前述のように膨大です。
これをただやみくもに消化するだけでは、正しく知識を身に付けることは出来ません。
試験にベストな状態で臨むためにはどれだけの量をいつまでに勉強しておけばいいのかきちんと逆算し、確実にその範囲を頭に入れられるような勉強を行いましょう。
国立だと1日10数時間勉強が必要?
先ほども申し上げたように、国立大学の学生が本格的に国試勉強を始められるのは卒論審査会が終わった11月下旬からになります。
その場合だと、試験に間に合わせるために1日10数時間勉強したという方も中にはいます。
しかし、勉強に要する時間は人によって異なり、集中力の持続する時間も人によってさまざまです。
自分にとって適切な時間を見つけ、自分に合わせた時間設定で勉強を行いましょう。
市販の問題集・参考書を活用する
先述のように、獣医師国家試験の勉強には参考書や問題集が少なく、過去問や各大学の有志の生徒が作成したまとめなどが、主な勉強のための資料となります。
しかし、少ないといっても問題集などが0というわけではありません。
獣医師国家試験を研究し、それに特化した参考書は存在し、そちらのほうが自分に合う、という人も中にはいるでしょう。
また。上記のようなまとめ+αの勉強として市販の問題集を利用するのも効果的です。
筆者の調べた範囲でおすすめできそうな問題集を以下にまとめていますので、興味のある方は購入を検討してはいかがでしょうか。
まとめ
今回の記事では獣医師国家試験の難易度についてお話をしました。
獣医師になるためには避けて通れない国家試験、獣医学生にとってはこれまでの6年間の集大成となります。
必要な情報の取捨選択を適切に行い、合格を掴むための試験勉強を有効に進めていきましょう。
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