「獣医学部に入りたいけど、どの大学が狙い目なのかな?」「偏差値の低い獣医学部を狙ったほうが合格しやすいんじゃないの?」と考えている受験生や親御さまはいらっしゃいませんか?
実は、「本当に」合格しやすい獣医学部とは、決して「偏差値の低い」獣医学部ではないのです。
しかし、ご安心ください!
この記事では、「本当に」合格しやすい獣医学部の条件や、その条件別にどんな大学を狙うべきなのかを現役の獣医学生が分析し作成したランキングを掲載しています。
皆さんが獣医学部合格を目指す際にとても役に立つ情報が満載ですので、ぜひ参考にしてくださいね。
勉強の方法について知りたい人は、こちらの記事をチェック!
👇 手っ取り早く知りたい人は目次の4番をタップ!
偏差値の低い獣医学部ランキング
順位 | 大学名 | 偏差値 | 2021年度倍率 | 国立/私立 |
1位 | 北里大学 | 61.0 | 2.0倍 | 私立 |
1位 | 酪農学園大学 | 61.0 | 2.2倍 | 私立 |
3位 | 日本大学 | 62.5 | 4.7倍 | 私立 |
3位 | 麻布大学 | 62.5 | 5.0倍 | 私立 |
3位 | 大阪公立大学 | 62.5 | 3.9倍 | 公立 |
3位 | 鹿児島大学 | 62.5 | 4.7倍 | 国立 |
3位 | 岐阜大学 | 62.5 | 3.0倍 | 国立 |
3位 | 鳥取大学 | 62.5 | 3.8倍 | 国立 |
3位 | 山口大学 | 62.5 | 3.2倍 | 国立 |
10位 | 岡山理科大学 | 63.0 | 8.0倍 | 国立 |
11位 | 東京農工大学 | 65.0 | 4.6倍 | 国立 |
11位 | 宮崎大学 | 65.0 | 3.1倍 | 国立 |
13位 | 帯広畜産大学 | 66.0 | 4.5倍 | 国立 |
13位 | 日本獣医生命科学大学 | 66.0 | 6.8倍 | 私立 |
13位 | 岩手大学 | 66.0 | 2.7倍 | 国立 |
16位 | 北海道大学 | 70.0 | 3.9倍 | 国立 |
17位 | 東京大学 | 71.0 | 3.6倍 | 国立 |
獣医学部への合格しやすさを紹介する前に、偏差値の低い獣医学部ランキングを見てみてください。
基本的に、どこの大学もあまり偏差値に差がないことが分かると思います。
また、同じ偏差値の大学でも倍率が大きく異なっており、こういった部分でも偏差値=難易度と言い切ってしまうのは少し危険だということが窺い知れます。
偏差値が低い=合格しやすいではない理由
獣医学部の偏差値が低い=合格しやすいではない理由としては、主に以下のことが挙げられます。
- 大学それぞれの偏差値にそこまで差がない
- 大学そのものの数も定員も少ないため、倍率の影響が大きい
それではここから、これらの理由について詳しく見てみましょう。
大学それぞれの偏差値にそこまで差がない
上記の表からも分かるように、獣医学部の偏差値は平均しておよそ63〜65くらいです。
この偏差値は、わかりやすい例だと九州大学や北海道大学などの旧帝大に匹敵します。
また、それぞれの大学の偏差値が近いため毎年ランキングは入れ替わり、医学部のような常に下位にいる大学はあまりありません。
これらの理由から「圧倒的に偏差値の低い」獣医学部は存在せず、「偏差値が低い=合格しやすい」という考え方が通用しないのです。
倍率の影響が大きい
獣医学部は入試の難易度を測る大きな指標の「倍率」の影響が大きいということも、「偏差値が低い=合格しやすい」と考えることができない理由の1つです。
獣医学部のある大学は全国でも非常に少なく、国公立は10校、私立は7校しか存在しません。
募集人数も少なく、国公立だと1学年30名前後のところがほとんどです。
この定員の少なさから、志望者の数が少し変わるだけで倍率が大きく変動し、受験する年や大学ごとに難易度が大きく変わってしまうのです。
倍率についてもっと詳しく知りたい人はこちらもチェック!
「本当に」合格しやすい獣医学部の条件とは?
ここまで獣医学部は「偏差値が低い=合格しやすい」ではないということを紹介してきました。
また、倍率も年や大学によって大きく変動してしまうため、あまり当てにはなりません。
では、「本当に」合格しやすい獣医学部とはどんな大学を狙うべきなのでしょうか?
それは「自分に合った」試験形式である獣医学部を選ぶことです。
実は、獣医学部は大学ごとに入試の形式が大きく異なっているんです。それらをきちんと理解することで、獣医学部への合格率をグッと高めることが出来ますよ。
ここから、「自分に合った」大学の条件を紹介します。
大学の選び方をより詳しく知りたい人はこちらもチェック!
出題科目が自分に合っている
自分に合った大学の条件として特に大切なのが2次試験の出題科目です。
人によって、得意な科目や苦手な科目がありますよね。
大切なのは、「得意科目が出題され、苦手科目が出題されない大学」を選ぶことです。
もちろん理科は出題されますが、なんと獣医学部は、理系入試には必須の「数学」や「英語」が出題されない大学が存在するんです。
以下に必要な科目ごとに大学をまとめていますので、参考にしてくださいね。
数Ⅲが必要な獣医学部
大学名 | 国公立/私立 | 2次試験に必要な科目 |
北海道大学 | 国立 | 数学(数Ⅲを含む)・理科2科目・英語 |
東京大学 | 国立 | 国語・数学(数Ⅲを含む)・理科2科目・英語 |
東京農工大学 | 国立 | 数学(数Ⅲを含む)・理科2科目・英語 |
大阪公立大学 | 公立 | 数学(数Ⅲを含む)・理科2科目・英語 |
実は、獣医学部では全ての大学で数Ⅲが必要というわけではありません。
入試で数Ⅲが必要な獣医学部には上記のような大学が挙げられます。
全体的にレベルの高い大学が多く、東京大学だけは国語の解答が必要となっています。
数学が得意で点差をつける自信がある人には、これらの大学がおすすめですよ。
英語・数学ⅠAⅡB・理科が必答の獣医学部
大学名 | 国公立/私立 | 一般/2次試験で必要な科目 |
酪農学園大学 | 私立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
日本大学 | 私立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
日本獣医生命科学大学 | 私立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
麻布大学 | 私立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
北里大学 | 私立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
岡山理科大学 | 私立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
鹿児島大学 | 国立 | 英語・数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
英語と数学ⅠAⅡBを必ず受験する必要のある獣医学部は、以上の7大学です。
先述の数Ⅲが必要な大学に比べると、理科が1科目のみとなっているのも特徴的ですね。
「2次試験レベルだと化学がちょっと…」など、共通テストレベル以上の理科に苦手科目のある人にとっては嬉しい科目形式ですね。
英語が2次試験にない獣医学部
大学名 | 国公立/私立 | 2次試験の科目 |
岩手大学 | 国立 | 数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
山口大学 | 国立 | 数学ⅠAⅡB・理科1科目 |
これらの大学は、英語を2次試験で受験する必要がありません。
2次試験レベルの英語が苦手な人にとっては、高得点を狙いやすい大学であると考えられます。
ただし、科目数が少ない分、2次試験で取れる点数も少ないため、共通テストで思うように点が取れなかった人には挽回しにくい大学となっています。
数学が2次試験にない獣医学部
大学名 | 国公立/私立 | 2次試験の科目 |
鳥取大学 | 国立 | 英語・理科1科目 |
岐阜大学 | 国立 | 英語・理科1科目 |
これらの大学は、数学を2次試験で受験する必要がありません。
代わりに、英語が必答となっています。そのため英語に自信がある人にはおすすめの大学です。
先述の英語が必答ではない大学と同様に、2次試験の配点が低いため、共通テストでやらかしてしまうと挽回できない点には注意してくださいね。
共通レベルの数学について知りたい人はこちらもチェック!
自分に合わせて科目を選べる大学
大学名 | 国公立/私立 | 2次試験に必要な科目 |
帯広畜産大学 | 国立 | 英語・その他2科目(数学・物理・化学・生物から2科目選択) |
宮崎大学 | 国立 | 英語・理科1科目・数学ⅠAⅡBから2科目選択 |
これらの大学は試験科目の形式が特殊なものとなっており、自分に合った形式に受験科目を選択して受験を行うことができます。
もちろん、平均点に合わせて各科目点数調整が行われるため、どの科目を選んでも不利になることはありません。
得点配分が自分に合っている
得点配分が自分に合っているかどうかも、合格しやすい獣医学部を選ぶ上で大切です。
獣医学部は大きく「共通テストの割合が高い獣医学部」「2次試験の割合が高い獣医学部」の2つに分けられ、自分に合った方を選ぶことが大切です。
共通テストの割合が高い獣医学部
大学名 | 共通テスト:2次試験 | 共通テストの占める割合 |
帯広畜産大学 | 600:450 | 約57% |
岩手大学 | 900:420 | 約68% |
東京農工大学 | 900:700 | 約56% |
大阪公立大学 | 900:700 | 約56% |
岐阜大学 | 900:400 | 約69% |
鳥取大学 | 900:420 | 約68% |
山口大学 | 1000:400 | 約71% |
宮崎大学 | 900:405 | 約69% |
鹿児島大学 | 900:600 | 60% |
上記の大学が、獣医学部の中で共通テストの割合が高い大学です。
国立大学10校のうち8校と、非常に多くの大学が属しています。
これは、共通テストで求められる能力と獣医師国家試験で求められる能力とが似ているためで、情報を的確に処理できる人材が求められているということを示しています。
「2次レベルはそこまで自信ないな…」「深く勉強する科目は絞りたい!」と考えている人にとってはとても適した大学です。
2次試験の割合が高い獣医学部
大学名 | 共通テスト:2次試験 | 共通テストの占める割合 |
北海道大学 | 300:450 | 40% |
東京大学 | 110:440 | 20% |
この2つの大学は、2次試験の占める割合の方が高くなっています。
そのため、「高いレベルの答案で差をつけたい!」「共通テストの点数が低かったのを挽回したい!」と考えている人にとっては適した大学です。
ただし、これらの2大学は「足切り」が存在します。
共通テストである程度高得点を取っておく必要があるため、その点は注意しましょう。
得意な科目・分野別!合格しやすい獣医学部ランキング
ここまで、各大学の特徴や「偏差値が低い≠合格しやすい」である理由についてお話ししてきました。
ではここから、得意な科目・分野別に合格しやすい獣医学部ランキングを紹介します。
様々な分野について、現役獣医学生グループ「僕のヴェットアカデミア」が精査し作成しました。
理科は選択の幅が大きく科目ごとで差がつきにくいため、今回のランキングでは省いています。
英語が得意な人におすすめの獣医学部ランキングトップ3
順位 | 大学名 | 国立/私立 | 詳細 |
1位 | 鹿児島大学 | 国立 | ・2次試験に英語が出題されるのに加えて、2次試験の配点も600点と高い。 ・問題レベルは標準〜やや難で、差をつけやすい。 ・共通テストの英語の点数が1.5倍される。 ・倍率も比較的低く推移している。 |
2位 | 岐阜大学 | 国立 | ・2次試験の英語のレベルがやや高く、点数に差がつきやすい ・英語が必答=英語が得意な人が集まるため、高得点は必須 ・倍率や偏差値が比較的低く、勝ち抜ける確率が高い |
3位 | 酪農学園大学 | 私立 | ・英語の問題にややクセがあり、点数に差がつきやすい ・英作文や要約など、「読めたら解ける」問題が多い ・倍率や偏差値が低く推移しており、競争しやすい |
英語は多くの獣医学部で必要とされる科目ですが、今回は問題の特徴や倍率・偏差値などをもとに「差のつけやすさ」に特に重きを置いてランキングづくりを行っています。
1位の鹿児島大学の特徴は共通テストの点数が1.5倍にブーストされるという点です。
英語が得意で共通テストで高得点が望める人は、一気にライバルに差をつけることが可能となります。
また問題自体もやや難しいため、読めた人と読めなかった人とで大きく点差の開きが生じます。
こうした理由から、英語が得意な人におすすめの獣医学部は、鹿児島大学としています。
数学が得意な人におすすめの獣医学部ランキングトップ3
順位 | 大学名 | 国公立/私立 | 詳細 |
1位 | 大阪公立大学 | 公立 | ・2次試験の数学では数Ⅲの出題率が非常に高く、差をつけやすい ・2次試験の配点が高く、数学で挽回できる可能性が高い ・数Ⅲが必要な大学の中では偏差値や倍率が例年低めである |
2位 | 東京農工大学 | 国立 | ・数Ⅲが2次試験に出題され、差がつきやすい ・数ⅠAⅡBをベースに数Ⅲをブレンドしたような問題が多い ・偏差値や倍率は比較的高め |
3位 | 帯広畜産大学 | 国立 | ・選択性のため、他の科目に差をつけられる可能性がある ・2次試験の配点が比較的高く、数学で挽回しやすい ・偏差値や倍率は高め |
数学は、英語以上に獣医学部で重要視される科目です。
今回は「差のつけやすさ」「数Ⅲの有無」に特に注目してランキングを作成しています。
1位の大阪公立大学は、2次試験の配点が高いのに加えて数Ⅲの出題頻度が非常に高いことが特徴です。
多くの大学が共通テスト重視である獣医学部、数Ⅲを習熟している受験生はあまり多くはありません。
そういった中で、数Ⅲの比重の高い問題をうまく解くことができれば、ライバルに差をつけられること間違いなしです。
以上の理由から、数学が得意な人におすすめの獣医学部は、大阪公立大学です。
自分に最適な獣医学部を選び、合格を掴もう!
今回の記事では、偏差値の低い獣医学部だからといって合格しやすいわけではない理由、「本当に」合格しやすい獣医学部の選び方についてお話ししました。
確実に獣医学部に合格するために、最も大事なことは「自分の得意科目に合った」大学を選ぶことです。
自分に最適な獣医学部を選び、ぜひ合格に役立ててくださいね
コメント