獣医学生の皆さんの中には「水族館の獣医師になりたい!」「企業の獣医師ってどんなことをしているのかな?」などの思いを持っている人も多いのではないでしょうか?
水族館の獣医師も企業の獣医師も獣医学部の中だと多くはないため、あまり詳しいことがわからないというのが本音かと思います。
そこで今回は、「水族館の獣医師になる」という目標を持って獣医学部に入学したものの、さまざまな考え方の変化のもと現在は飼料メーカーの企業獣医師として働かれている獣医師の先生にお話を伺いました。
どのように考えが変化していったのか、現在はなぜ大動物に関わっているのか、水族館や企業の獣医師に興味のある人はぜひ参考にしてくださいね。
後編はこちら👇
今回インタビューさせていただいた先生
「水族館の獣医師」を目指して獣医学部へ
ーーそれでは早速インタビューの方を始めさせていただきます。まず簡単な自己紹介をよろしくお願いします。
はい。大学を卒業後、牛や豚、鶏の飼料を作っているメーカーに所属しています。
ーー獣医師を志望する人の中では珍しい進路かと思うのですが、はじめからその進路を考えていたのでしょうか?
そうですね…私の元々の夢はイルカショーのお姉さんです。
小学校に上がる前くらいから目指していて、その頃からずっと海外の水族館で働くのが夢でした。
ーーそこからなぜ獣医の道に進もうと思ったのですか?
イルカショーのお姉さんを目指すうちに、単にショーをするだけでなく病気も治せたほうがもっといいんじゃないかなと思うようになりました。
これが高校2年生の頃です。そこからその夢1本で1年浪人して大学に入りました。
ーー大学に入ってから「水族館で働く」という夢について何か変化はあったのでしょうか?
入学したときはやっぱり「水族館の獣医になる」っていうのがもう大前提でしたね。
けれど、私の入学した大学は産業動物が多いことで有名で、牛や豚が当たり前にいる環境で過ごしていく中で少しずつ大動物への興味も出てきました。
夢と実際の現場とのギャップに悩み別の道へ
ーー今は大動物に関わるお仕事をされていると思うのですが、水族館でなくそちらの道に進んだのには何か理由があるのでしょうか。
そこが皆さん気になる部分ですよね(笑)
一言で言うと、自分が思い描いていた世界と現実がだいぶ違っていたんです。
大学時代、3〜4カ所ぐらい水族館に実習に行きました。実習をして自分が思い描いていた「水族館の獣医さんのお仕事」と実際の「水族館獣医師の業務」を比べたときに、ここではもしかしたら自分がやりたいことをやれないかもしれないと思ったんですね。
別にマイナスの意味じゃなくて、水族館で働けば色んな素晴らしい体験ができると思います。けれど、あくまで私にとってはちょっと違うのかもしれないと感じるようになりました。
逆に大動物の臨床現場へ研修に行った時にすごく興味を持って、それが就職の選択肢になりましたね。
ーーなるほど、それで今の仕事に就かれたということでしょうか。
いえ、実は今の会社に就職する前に半年ほど小動物の病院に勤めていたんです。
犬や猫よりもイルカやウシなど飼えない動物が好きだった
ーー転職されて今の会社に就職されることになったということですね。何かきっかけなどがあったのでしょうか?
理由は色々あるんですけど、そもそも私が動物を飼ったことがなかったというのが1番大きな理由ですね。動物はもちろん大好きだったんですけど、どっちかというとイルカや牛みたいな飼いたくても飼えない動物が好きでした。
その状態で獣医学部に入ると犬猫が好きな子がやはりいっぱいいて、そこでの温度差っていうのは6年間感じていました。犬猫が嫌いってわけじゃないんですよ!(笑)
ーーやはりその状態で犬猫の動物病院に入ると厳しかったですか?
やっぱ犬や猫の扱い方が分からないんですよね…触り方がわからないとか、本当にそのレベルで。
獣医学部に通っている人からしたら不思議かもしれないんですけど、何をしたら嫌がるかとかそういうことがわからないので、勉強しようにもそれ以前の問題というか。
ーー大学で犬や猫と触れ合う機会はあまりなかったのでしょうか。
なくはないって感じですね(笑)研究室もネズミを使う研究室だったので、本当にや犬猫に触れることがなくて…
病院側もあまりさせられないっていうのが本音だったと思います。入って1ヵ月くらい経つと、同期の子は診察に立ち始めてるけど私はまだ掃除してるなぁみたいな。でもやっぱりいざ診察で「当たり前のことがわからないのにご飯の相談とかされても…」みたいなそんなレベルなんですよね。
ーーそのギャップはなかなか厳しいですね…
そうですね。どんどん溝ができていく感じで、それよりかは牛のような好きな動物のほうに進んだ方がいいかなと思って。獣医師って免許持っていればそんなに仕事に困ることがないので、基本的に今は好きな方に進んでみるかなと思って移ったというのが本音ですね。
後編に続く!
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