再生医療と免疫調整に関する研究で注目を集めていらっしゃる久末正晴教授(麻布大学獣医学部)。
今回の記事では、久末先生が挑戦している新しい治療法やクラウドファンディングへの取り組みについて詳しく伺いました。
研究されている「フアイア」糖鎖TGP-1とはどういったものなのか、なぜその研究に至ったのかといった研究の背景から、先生がどのようにして獣医師の道に至ったのかというところまでしっかりインタビューしております。
クラウドファンディングの成功を目指す久末先生の熱意と情熱をぜひ感じ取ってください!
今回お話を伺った先生
研究内容とクラウドファンディングへの挑戦
──早速ですが、先生の研究内容やクラウドファンディングについて教えていただけますか?
私は再生医療、特に肝臓の再生についての研究を行っています。
血液病や免疫疾患の診療に取り組みつつ、日々新しい治療法を探求しています。
私の研究室では、多くの学生や研究者が協力して、動物の健康を守るための新しい方法を模索しています。
再生医療の分野では、肝臓細胞の培養や人工幹細胞の研究にも取り組んでおり、これが臨床応用に結びつくことを期待しています。特に、肝臓の再生研究は、多くの動物が抱える慢性的な病気に対して大きな希望をもたらすのではないかと感じています。
また今回は、免疫調節を目的とした「フアイア」糖鎖TGP-1効果を検証するためにクラウドファンディングを開始しました。これにより、科学的なエビデンスを提供し、安心して使用できる製品を目指しています。
──「フアイア」糖鎖TGP-1とはどんな物質なのでしょうか。
漢方薬の抽出成分であり、特にマッシュルームから抽出されるものです。その成分の一つが免疫調節に効果があることがわかっています。これまでの研究で、マウスやラット、さらには人間の臨床での効果も確認されており、特に免疫の病気に対して優れた効果があることが報告されています。
現在、免疫疾患にはステロイドという薬を使用することが多いのですが、この薬は副作用にかなり気をつけなくてはなりません。
私は、「フアイア」糖鎖TGP-1はこのステロイドの代替になるのではないかと思っています。
私たちの研究室では、この成分が動物の免疫調節にどのように役立つかを詳細に調べています。具体的には、「免疫介在性の疾患の治療」についてです。また、作用機序を明らかにするために、細胞レベルでの研究も行っています。
──ステロイド薬の副作用について教えてください。
ステロイド薬は非常に効果的な免疫抑制剤ですが、長期使用による副作用が問題です。筋肉の衰え、糖尿病、毛の脱落、さらには血栓症など、多くの深刻な副作用が報告されています。
特に犬では、長期使用による毛の脱落や体重増加、さらには血糖値の上昇による糖尿病などが見られます。
もし「フアイア」糖鎖TGP-1によってステロイドを減薬できれば、多くの動物がより健康的な生活を送ることができるようになるでしょう。
クラウドファンディングで「科学的エビデンスを持つ治療法」を確立したい
──クラウドファンディングに挑戦した理由は何なのでしょうか?
「フアイア」糖鎖TGP-1の効果を科学的に証明し、安心して使える製品として提供するためです。
未だ実績のない新しい治療法の開発には、多くの資金が必要なうえ、補助金などを得るのもなかなか難しいんです。
たとえば抗体一つを購入するだけでも数万円かかりますし、そこに研究員の方々の人件費なども乗っかってくるため、とても研究費がかかるというのが実状です。そこを補う手段としてクラウドファンディングを検討したというのがまず一つです。
またクラウドファンディングを通じて、私たちの研究がどれだけ多くの人々の関心を引き、支援を得られるかを確認することも狙いの一つです。
もちろん資金は必要ですが、それだけではなく、広く社会に対して研究の重要性を訴え、理解を深めてもらうことも大切だと思っています。そのための手段としても、クラウドファンディングは非常に有効だと考えました。
──クラウドファンディングの成立後の展望について教えてください。
クラウドファンディングが成立すれば、具体的な病気に対する治療効果を検証し、科学的エビデンスを積み重ねることができます。免疫介在性の血小板減少症や溶血性貧血、関節炎など多くの病気に対する効果を確認し、その結果を基に治療法を確立していきます。
次に、科学的な裏付けを確立するため、抗体量の測定や細胞の動きの解析を行います。
これにより治療の安全性と有効性を証明し、現場の獣医さんたちが安心して使用できるようにしたいと思っています。
きちんと科学的な根拠があるものでないと、どんなに良いものでもなかなか普及しないんです。
そのためにもこのプロセスを徹底して行い、正しい治療として世の中に広めていきたいと考えています。
──クラウドファンディングに対する先生の想いをお聞かせください。
このクラウドファンディングを成功させることは、私たちの研究にとって非常に重要なスタートラインだと思っています。なんとしても成功させたいです。
成功すれば、新しい治療法の開発を進めるための資金を確保し、多くの動物を救うための研究を加速させることができます。また、このプロジェクトを通じて多くの人々に動物医療の重要性を知ってもらいたいです。
さらに、支援者の皆様の期待・信頼に応えるために、私たちは常に高いモチベーションを持ち続け、研究を進めていきます。このプロジェクトを通じて多くの方々に希望を届けることができれば、これほど嬉しいことはありません。
科学的に証明された効果的な治療法を提供し、動物医療の発展に貢献したいと考えております。
そのためには、皆様のご支援が不可欠です。どうぞよろしくお願いいたします。
久末先生の獣医師・研究者としてのキャリア
──獣医師を目指したきっかけは何ですか?
実家は食品会社を営んでいましたが、幼少期から多くの動物と接する機会がありました。犬や猫だけでなく、時にはウサギや鳥なども飼っていました。そのような環境で育ったことが、動物に対する深い愛情と興味を育んだのだと思います。
特に猫のミーちゃんが病気になった際、獣医師の治療によって元気になった姿を見て、獣医の仕事に感銘を受けました。この経験が私を獣医師の道へと導きました。動物たちの健康を守るために、自分も何かできることがあるのではないかと考えるようになりました。
──獣医師としてのキャリアについて教えてください。
宮崎大学で6年間勉強し、獣医師免許を取得。大学院時代は、東京大学で猫の白血病ウイルスの研究を行っていました。その後、麻布大学で教員として採用され、血液病や消化器病の診療に携わるようになりました。
人生での大きなターニングポイントとなったのは、やはり東大での研究です。研究成果を発表し世の中に還元することに大きな意義と重要性を感じました。そこがきっかけとなり、大学教員を目指すようになったんです。
大学院時代には、血液学や免疫学に深く関わる機会があり、それが現在の研究の基盤となっています。また、アメリカでの学会発表を通じて、多くの国際的な研究者と交流し、視野を広げることができました。
その経験は、私の研究に対するアプローチや考え方に大きな影響を与えています。
麻布大学で教員として働き始めた当初は研究と教育の両立に苦労しましたが、学生たちとの交流を通じて多くの刺激を受け、日々新しい発見があります。再生医療の研究は特にやりがいがあり、患者の生活を大きく改善する可能性があるため、非常に意義深い仕事だと感じています。
──2005年にグラスゴー大学へ行かれていますが、どのような経験をされたのでしょうか。
グラスゴー大学での2年間は私の人生にとって大きな転機でしたね。日本の教員として、特に学生さんとの向き合い方に苦労していた時期に留学させてもらい、そこで白血病の研究を続けました。地元の方々が話す独特の英語に苦労しましたが、研究者や同僚たちのサポートのおかげで多くを学ぶことができました。
特に印象的だったのは、カレン・ブルース教授から受けた教育哲学です。
彼女は学生に対して怒らず、優しく包み込むような姿勢で接していました。この経験から学生への接し方を学び、自分の教育スタイルも大きく変化することとなりました。
グラスゴーでの経験は、私を研究者としてだけでなく、教育者としても大きく成長させてくれたと思っています。
また、驚いたのが海外のラボの恵まれた環境です。広い実験室やサポートスタッフが充実しており、大学院生がスムーズに研究を進められるようになっていました。この体験を基に、私も自身の研究室で同様の環境を整えることを目指しています。
獣医師/研究者を目指す学生へのメッセージ
──獣医学部生や受験生に向けてのメッセージをお願いします。
獣医師という職業は、非常に多岐にわたる業務をこなす必要があります。動物の診療だけでなく、公衆衛生や食品安全の分野でも重要な役割を果たしています。学生時代に多くの経験を積み、広い視野を持って自分のキャリアを築いてください。
また、臨床実習や研究活動を通じて、実際の現場での経験を積むことが重要です。教科書では学べない多くのことは、将来のキャリアに大いに役立つことでしょう。研究活動を通じて、科学的な思考や問題解決能力を養うことも大切です。
受験生の皆さんは、獣医学部への進学を目指す上で、自分の興味や関心をしっかりと持ち続けてください。
獣医師という職業は非常にやりがいのある仕事ですが、その分大きな責任も伴います。
自分の目標をしっかりと持ち、その実現に向けて努力を続けてください。獣医師としての道は決して容易ではありませんが、その先に待っているやりがいや達成感は非常に大きなものですよ。
──研究者を志す学生に向けてのメッセージをお願いします。
研究者になるためには大きな夢と情熱を持っていただきたい。研究は失敗の連続ですが、折れない心と情熱を持ち続けることが重要です。失敗を恐れず、トライアンドエラーを繰り返しながら、最終的には社会に貢献できる成果を目指してください。研究は非常に困難であり、挫折することも多いですが、その先にある成功は何にも代えがたい喜びです。
また、研究仲間との協力やコミュニケーションも非常に重要です。
一人では解決できない問題も、チームで取り組むことで解決の糸口が見つかることが多々あります。
時には海外の研究者との交流や共同研究を通じ、異なる視点や方法論を学ぶことで、自分の研究をより深めることができます。
最後に、研究者として成功するためには、常に好奇心を持ち続け、新しいことに挑戦する姿勢が大切です。
既存の知識に満足せず、常に新しい知識や技術を学び続けることが、研究の進展には欠かせません。
自分の研究が世の中を変えるんだという心を捨てずに、頑張ってくださいね。
クラウドファンディング詳細情報
プロジェクト概要
犬猫を対象としたフアイア糖鎖TPG-1の効果や副作用などにおける臨床研究を行う。
資金の使途
本クラウドファンディングでいただいた寄付金は、麻布大学獣医学部小動物内科学研究室において以下の用途で活用されます。
- 臨床研究費
- フアイア糖鎖TPG-1の効果や副作用を調査するための薬代
- 血液の解析費用
- 論文作成費
- 研究対象の拡大
- 初期目標金額を超えた場合、対象の犬猫の頭数を10頭から20頭、30頭と増やし、研究結果の精度と信頼度を向上させる
- 研究の信頼性向上
- 国内外で信頼度の高い研究成果を獲得し、論文を執筆
- フアイア糖鎖TPG-1の効能に関する議論を促進
- 免疫解析
- 犬猫の免疫状態解析のためのフローサイトメトリーや免疫染色
- IL1、IL6の発現解析やTregの解析
- 被験者募集と経過観察
- 10~30頭の犬猫の血液を採取し、数ヶ月間にわたる経過観察を実施
支援金額のゴール
- 第1ゴール:300万円(10頭分の試験)
- 第2ゴール:600万円(20頭分の試験)
- 第3ゴール:900万円(30頭分の試験)
リターン内容
金額 | お礼のメール | 研究活動レポート | 日本獣医フアイア研究会HPへのお名前掲載 | ホームページ用バナー提供 | 報告レポートへのお名前掲載 | 論文謝辞へのお名前掲載 | 久末正晴教授の研究室見学会 | オンデマンド講義視聴権&質問会 | 久末正晴教授との個別食事会 |
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3,000円 | ○ | × | × | × | × | × | × | × | × |
10,000円(個人) | ○ | ○ | ○ | × | × | × | × | × | × |
10,000円(企業スポンサー) | ○ | ○ | × | ○ | × | × | × | × | × |
30,000円(個人) | ○ | ○ | ○ | × | ○ | × | × | × | × |
30,000円(企業スポンサー) | ○ | ○ | × | ○ | × | × | × | × | × |
50,000円(ブロンズスポンサー) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × | × | × |
100,000円(個人) | ○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ | × | × | × |
100,000円(シルバースポンサー) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
300,000円(ゴールドスポンサー) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
1,000,000円(プラチナスポンサー) | ○ | ○ | × | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
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